定型句・定型表現の使い方がおかしい/間違っている/独自改変している ~アニメ「不徳のギルド」の場合 #2
◆概要
【定型句・定型表現の使い方がおかしい/間違っている/独自改変している】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「不徳のギルド」(第11話)
▶1
本作の主要キャラの1人・メイデナ(15歳女子)。
彼女は、新人の「ガード=魔物を狩る人」である。
メイデナは数人のガードとパーティを組んでいるのだが、
・Step1:パーティメンバーの1人・いたずらっ子のトキシッコとはどうにも相性が悪いようだ。
・Step2:メイデナは、いつもトキシッコにからかわれては泣いたり怒ったりしている。
ある日、
・Step3:メイデナがパーティメンバーのトキシッコ、そしてノマとともに森の中を探索していた時のことだ。
・Step4:ノマが魔物に捕まってしまった!
たっ、大変だ!
・Step5:だが、メイデナは白魔術師であり攻撃力は皆無。一方、トキシッコは黒魔術師であり強烈な攻撃魔法を放つことができるものの、しかしコントロール力に問題あり。いま魔法を使えばノマも無傷では済まないだろう。
・Step6:つまり、打つ手がない!2人は頭を抱える。嗚呼、このままではノマがやられてしまう……。
かくなる上は!
・Step7:メイデナが言った「トキシッコ、あんた肉弾戦を挑みなさい!」「私がいくらでも回復してあげるから」。
・Step8:トキシッコは呆れる。何言ってんだこいつ!?私は黒魔術師だぞ!肉弾戦なんてできるはずないだろ!
・Step9:しかしメイデナは引かない「ノマの代わりにあなたが犠牲になればWin-Winじゃない!」。
・Step10:トキシッコは意味がわからない。彼女は叫んだ「誰のWinと誰のWinだよ!?」。
・Step11:するとメイデナは言った「私の体と私の心!」。
▶2
メイデナは、仲間が魔物に捕まりパニックに陥っているようだ。また、トキシッコなんてやられちまえという気持ちもあるのだろう。かくして彼女は言った「ノマの代わりにあなたが犠牲になればWin-Winじゃない!」。
トキシッコは訳がわからない。彼女は叫んだ「誰のWinと誰のWinだよ!?」。
するとメイデナは――「私の体と私の心!」。
「『Win-Win』って、私とあなたの両方にメリットがあるとか、自社と取引先の両方に利益があるとか、そういう時に使う言葉だよね?それを『私の体と私の心がWin-Win』って……どれだけ自分勝手なんだよ!(笑)」「『私の体と私の心がWin-Win』って、初めて聞いたよ(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。