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パワーインフレを防ぐ方法【「より強い敵・障害物」から、「主人公にとってより嫌な敵・障害物」へ】

物語は過激の一途をたどるもの


物語とは、序盤 → 中盤 → 終盤と進むに連れて、グングン「過激化」していくものです。

例えば、バトルもの。「聖闘士星矢」も「北斗の拳」も「ドラゴンボール」も……敵はどんどん強くなっていく。当然、主人公もパワーアップします。彼らが使う武器や技も強大化していく。

ラブストーリーでも同様です。主人公と恋人の仲を引き裂こうとする「障害物」は、どんどん厄介で面倒くさいものになっていく。


なぜ、物語は過激の一途をたどるのか?


さて、ここで疑問。物語は総じて過激化していく……一体なぜ?

理由は、2つに大別できます。


【1】主人公の「成長」を表現するため

多くの物語では、主人公は作中で「成長」を遂げます。より強く、より逞しく。精神的にも成熟していく。

そんな主人公の「成長」を表現するために描かれるのが、そう、より強大な敵との戦いです。より強い敵を倒すことで「成長」が表現されるのです。

かくして、物語は過激の一途をたどる……。


【2】読者・鑑賞者が飽きるのを防ぐため

読者・鑑賞者とは飽きっぽいものです。

どれほど過激なストーリーや演出にも、あっという間に慣れてしまう。そして、より一層強い刺激を求める。

そんな彼らに関心を抱き続けてもらうには、物語はグングン過激さを増す必要があるのです。


パワーインフレにご用心


ここまでご説明してきた通り、「物語は過激化する宿命を負っている」のですが……さて。過激化するにあたり、1つ注意すべきことがあります。

ズバリ、「パワーインフレ」。バトルマンガでお馴染みのあの現象です。


例えば……パワー10の敵が登場する。主人公は生憎パワーが5しかない。ゆえに敗北する。しかし、修行を積むなどしてパワーアップ。11の力を手に入れる。そして敵を倒す。すると今度は、パワー20の敵が登場する。主人公は再びパワーアップして……以下略。これがパワーインフレです。


そして、パワーインフレとはじつに危険なものです。

端的に言って、「どうせまた主人公がパワーアップするんでしょ?で、勝利を修めるんでしょ?そしたらまた、強敵が現れるんでしょ?いつも同じ展開じゃん。はっきり言ってマンネリなんだよねぇ」と、読者・鑑賞者からそっぽを向かれるおそれがあるのです。

パワーインフレはできれば避けた方がいい……それが一般的な認識でしょう。


パワーインフレを回避するには、発想の転換を!


はて。どうすれば、パワーインフレを回避しつつ物語を過激化することができるのでしょうか?

様々なやり方があるかと思いますが……じつは昨日、面白い方法を思いついたんですよ(ちょっと聞いてくださいよ)。


そもそも私たちが、パワーインフレ型の物語を作ってしまうのはなぜか?それは、「『より強い敵・障害物を出そう』と考えるから」だと思うのです。

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この考え方がまずい!

「より強い」を追求することで、「パワー10よりも、20の方が強いぞ」「30の方がもっと強いぞ」と量的な増大を招いてしまう。


そこで発想の転換です。

「より強い敵・障害物を出そう」とするのではなく、「主人公にとってより嫌な敵・障害物を出そう」と考える!

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具体的には、「主人公が大切にしていること・大切にしているもの」をリストアップし、それを脅かすエピソードを考えるのです。

例えば主人公が家族想いの青年なら、「主人公ではなく、彼の家族が狙われるエピソード」。また、主人公が「他人から感謝されること」に喜びを感じる女性なら、「敵の企てによって、主人公の周囲の人びとが『主人公 = 裏切者』と誤解。主人公が孤立し、発狂寸前まで追い詰められるエピソード」。


このように、「主人公にとってより嫌な敵・障害物を出そう」と考えると、「パワー10の敵が登場 → 倒す → パワー20の敵が登場 → 倒す」を繰り返すパワーインフレ型の物語とは違って、「今回は、主人公の家族が危険な目に遭う。次回は、主人公が孤立する」といったバリエーションに富んだ物語になるのです。

さらに、物語が進むに連れて「主人公にとってより一段と嫌な敵・障害物」が登場するようにエピソードを並べれば、「物語の過激化」も実現します。

まさに、「パワーインフレなき過激化」と言えるでしょう。


ラブストーリーでも同様です。「より強大な障害物を出そう」とするのではなく、「主人公にとってより嫌な障害物を出そう」と発想する。


この発想の転換!よければみなさん、使ってみてくださいねー。


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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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