定型句・定型表現の使い方がおかしい／間違っている／独自改変している　～ドラマ「トリック」の場合

山田「4日後、あなたがどうなっているか草葉の陰から楽しみにしてますから」

ドラマ「トリック」（第1話）

◆概要

【定型句・定型表現の使い方がおかしい／間違っている／独自改変している】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。

◆事例研究

◇事例：ドラマ「トリック」（第1話）

▶1

本作の主要キャラの1人・上田（男性、30代）。

ある時……

・Step1：上田は、怪しい宗教団体の教祖から「あと10日で死ぬ」と宣告された。

・Step2：刻一刻とその日が迫る中……上田は偶然知り合った山田という女性に助けを求めた。とはいえ、上田は傲慢でプライドの高い男だ。素直に「助けてほしい」とは言えぬ。彼は小切手をちらつかせ、それでもって山田を釣ろうとした。

・Step3：そんな上田の態度に、山田はカチンと来たようだ。彼女は言った「お金で人の気持ちを自由にできると思ったら大間違いです」。そして小切手を破り捨ててしまった。

・Step4：さらに「4日後、あなたがどうなっているか草葉の陰から楽しみにしてますから」と言い捨てると、山田は颯爽と去っていった。上田は何も言えない……。

▶2

山田は「お金で人の気持ちを自由にできると思ったら大間違いです」と啖呵を切ると、躊躇なく小切手を破り捨てた。そして颯爽と去っていった。嗚呼、格好いい！！

が、去り際の捨て台詞に問題がある。

彼女は「4日後、あなたがどうなっているか草葉の陰から楽しみにしてますから」と言うが、「草葉の陰」とは「墓場の下」や「あの世」のことであり、「亡くなったお父さんも草葉の陰から喜んでいますよ」などと使うのが正しい。

したがって……「『草葉の陰から楽しみにしてます』って、それじゃあ山田、お前が死ぬことになるぞ！（笑）」「せっかく格好よかったのにそこで間違えるのかよ！（笑）」「どうも格好つかないなぁ（笑）」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。

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