大げさすぎる・大仰すぎる ~アニメ「日常」の場合
◆概要
【大げさすぎる・大仰すぎる】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「日常」(第2話)
▶1
本作の主人公の1人・みお(高1女子)。
ある日、
・Step1:ゆっこ(クラスメイトにして親友)からノートを貸してほしいと頼まれた時のことだ。みおは「また宿題を忘れたの?」「しょうがないなぁ」と呆れつつも、ノートを貸してやった。
ところがその直後、
・Step2:みおの胸が騒いだ。何だか嫌な予感がする……。
・Step3:みおは間もなく思い出した。昨夜宿題を終えた後、あのノートに落書きしたのだった。そしてそれを消し忘れていた。みおは青ざめる。――というのも、みおはBLマンガ家志望。彼女が描いたのは全裸の男たちが絡み合うイラストだったのだ!
あんなイラストを見られたら私の高校生活はおしまいだ!
・Step4:みおは激しく動揺し、ゆっこからノートを取り返そうとした。
・Step5:しかしゆっこは「意地悪しないで貸してよ~(笑)」「すぐ写すからさ!」などと言って、なかなかノートを手放そうとしない。
それどころか、
・Step6:ゆっこはノートをむんずと掴むと、突如として教室を飛び出し、廊下を走って行ってしまった。――ノートを取り戻そうと必死なみおを見て、お騒がせ少女・ゆっこは思ったのだろう「何だかわからないがこりゃ面白そうだぞ。よーし、持ち逃げしてやれ」と。
みおは慌ててゆっこの後を追った。
・Step7:だが、運動神経抜群のゆっこに対して、みおは運動が苦手。追いつけるはずがない。かくしてみおは絶望した「終わる……私の人生が……」。
・Step8:やがて荘厳な音楽が流れ始め、これまでの人生が走馬灯のように見えてきた。みおは穏やかな口調で「ありがとう、私の人生。いままで楽しかった。ちょっぴり嫌なこともあったけど総じて幸せな人生だった」。
みおはすべてを諦めたかのようにその場に崩れ落ち――るかと思いきや、
・Step9:倒れる直前にグイっと足を踏ん張った。そして拳を握った。みおの口調がガラリと変わる「終わり……にするわけにはいかない!」。彼女は叫んだ「いの!ちを!燃や!せー!!」。みおの全身から黄金のオーラが噴き出す。
・Step10:そして、みおは超スピードで走り出した。彼女は叫ぶ「オララララララララララー!!」。
・Step11:ぐんぐんとゆっことの距離が縮まっていく。だが、ゆっこもただ者ではない。負けじとスピードアップ。2人は廊下を爆走していった。
▶2
みおは高校生。多感な時期である。「あんなイラストを見られたら私の人生は終わりだ!」とパニックに陥るのも無理ないだろう。
しかしとはいえ――「人生の走馬灯を見たり、命を燃やしたり、オーラをまとったり……あまりにも大げさすぎる!(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。