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SENSE 2024.09


はじめに

マンダリンオリエンタル東京の広東料理レストラン、「SENSE」に参りました。
初秋の食材を使った品々を楽しんでまいりました。
(前回のブログはこちらから↓)

勝手に評価!

  • 総合評価:4.7 凄く良い!

  • 料理・味:4.7

  • サービス:4.4

  • 雰囲気:4.5

  • コスパ:4.7

実際に食べたもの

岩手県産プラチナポークの叉焼

焼き立てをご提供いただきました!
細やかな肉質と柔らかい弾力が心地良い、絶妙な火入れ。
一噛みすると、豚肉の瑞々しい甘み、蜂蜜から成る膨よかな甘みとほんのりと感じる桂皮(かな?)の華やかさ。これらの親和性が非常に取れている。
いくらでも頂きたい。(笑)

北海道産ボタン海老と縞海老の春巻き

海老の味わいを楽しんでいただきたいと、シンプルな構成・味付けで。

ぷりっと肉厚な弾力と、ふんわりと解けるような口当たり。
そして、春巻きとしての香ばしさはありつつも、ピュアで繊細な海老の旨味をしっかり味わえます。
シンプルだからこそ分かる、素材の魅力と技術力の高さ。

シャインマスカットの黒酢酢豚

黒酢をベースに、ライムを少し足したタレは、しっかりとした酸を感じる。
もう少し丸みを持たせたほうが良いのでは?…と思いましたが、中の忍ばれたジューシーなシャインマスカットに納得。
この酸が加わることで、味にキレが生まれます。

果肉を感じつつも、口での溶け込みを考えた火入れ加減。豚肉はジューシーでふんわり。
チャレンジングな組み合わせですが、各具材が一体感をもって一つの品へと構築されています。

京丹波町産 山城農場 京鴨と芽葱のダックロール

今回は鴨を皮のみ使用。皮のジューシーさと芽葱の爽やかさ、胡瓜の瑞々しさがより焦点となる。
タレと素材のバランスがより取れている。特に、芽葱や胡瓜の働きによって、味の濃淡がしなやかな流れとなって感じられる。
この1枚に想像以上のインパクトというか、満たされる感覚がありました。
これは何度でも頂きたい!!

朝天唐辛子と北海道産伝助アナゴの甘辛炒め

香港の家庭料理から着想を得られた一品。
皮ごとミンチにした穴子の身とコリアンダーを混ぜだものを万願寺唐辛子に詰めております。
穴子であることを忘れてしまいそうなほどに、ジューシーでふわふわ。そこへ万願寺唐辛子の自然な甘みとほんのりと青みが香り、コクの中に甘みとすっと辛みのアクセント、そして酸の余韻を持たせたタレが味に立体感を生む。
中華らしい華やかさもありつつ、素材の魅力を引き出した一品です。

北海道産きんきの姿蒸し

前回も頂いたお気に入りの一品だったのですが、さらに磨きがかかっていました!!
今回きんきは炭で炙って。
ぷりっとした身は、瞬く間に清らかな脂と共に消えていく。
ソースはきんきの出汁を使うことで一体感がありつつも、ナンプラーの香りやスダチで爽やかな後味を残します。
そして、炙りによって生まれる、脂が燻されたような香りがこの一品に深みを与える。これは脂の乗ったきんきだからこその特権ですね。

北海道産きんきのブラックビーン蒸し

今回は豆鼓醤蒸しスタイルも頂きました!

見て分かりますか?この脂乗りとしっとり感。
ふんわりと調理されたきんきに合わせるのは、ブラックビーンやオイスターソースをベースとしたタレ。
発酵により生まれる甘みとコクが、きんきの甘く清らかな脂と相乗効果を生みます。

吉浜干し鮑 松茸 銀杏の佛跳牆

スープは贅沢にも干し鮑、松茸、銀杏、すっぽんを使用しています。
丸みを帯びた純粋な旨味とコクに、ほんのりと広がるミネラル感。
心とお腹がふわっと温まります。

活蝦夷鮑の大和肉鶏白湯オイスターソース煮込み
黒トリュフと冬瓜のヴェール

結論、どっぷり感動しました。鮑に黒トリュフ、間違いない組み合わせですが、その期待を遥かに超える衝撃が走りました。
ぎゅっううと詰まった鶏肉の旨味のエキスに、オイスターソースのコクや甘み、海のミネラル感。
そこへ加わるのは、焦がされた醤油と葱の香ばしい香り。しかし、この香りの良さだけが抽出されており、雑味は全く感じない。(一度焦がし醤油と葱を作った鍋で白湯などを加えて調理されているのだとか。)
そして、黒トリュフの土っぽい香りがソースへさらなる奥行きを生み、心地良い余韻が鼻を抜ける。
プリッとしつつ歯切れの良い柔らかな鮑や冬瓜のヴェールと頂くと、ソースの奥深さに鮑のミネラルや冬瓜の瑞々しさが絶妙に絡み合う。
とんでもない一品です。

リゾット仕立て

メニュー外の、嬉しいサプライズ!!
先程のソースを煮詰めたものにお米を合わせて、リゾット仕立てにしております。
さらに濃縮されたソースやトリュフの深い味わいや香りに、お米の柔らかな甘みと粒感を持った食感。
すんごい贅沢な一品です。にやけが止まらない。

蕪の上湯蒸し

蒸された蕪からは瑞々しく、上湯の洗練された旨味に加えて、蕪本来の甘みやほんのりと大地の香りも感じられる。
添えられた蕪の葉を使ったソースは蕪の葉らしい青みとごま油の香ばしさがあって、何とも食欲を唆ります。

A4和牛フィレ肉 ホン・スパイシス
カンボットブラックペッパー炒め

茹でて後に香ばしく焼かれた和牛は、最初はもっちりとした弾力。後に、細やかな繊維が咀嚼と共に解れる食感。
さらさらと滴る美しい脂の甘みや肉の旨味に、スパイスのアクセントが華やかに、しかし穏やかに溶け込む。そして、エシャロットは生と揚げの2種類を用いることで、香ばしさと清涼感が加わる。
インパクトはしっかり残しつつ、素材の味をしっかひ捉えられる。そして、ボリュームなのに、気付いたら無くなってしまう。
他のジャンルでは味わえない、お肉のポテンシャルを活かし方。

佐賀県産ほしゆたかと黒富士農場卵の黄金炒飯

佐賀県産ホシユタカという長粒米は、中には白米らしい甘みがありつつ粘りが少なくハラリと粒を感じる食感。
そんなホシユタカを上湯と干し貝柱で炊き込み、卵と絡めて炒める、シンプルな構成です。
上湯やホタテの凝縮された旨味を含んだお米、卵と絡まることで香ばしさと共に丸みを帯びた旨味となって仕上がります。

珍珠鶏清湯

動物性の旨味が丸みを帯びて、すっと食道に染み渡る。
炒飯とのバランスを考えた、しっかり、しかしナチュラルな味付けです。

バースデープレート

私事ながら誕生日利用につき、プレートやメッセージをご用意いただきました。(ありがとうございます!!)
月餅はホロリとしっとりと崩れる生地と、しなやかな餡。ボリューム感ある甘さがありつつ、後味の余韻がとても心地良い。
奥にある円型の小菓子は、ニッキの華やかな香りと共にホロリと崩れる生地。中にはラムレーズンと巨峰のジャムが入っており、濃縮した果肉感と甘みがコントラストとなる。
SENSEのデザートは、どれもレベルが高いです。

マンゴープリン

滑らかにしなやかに溶け込む口当たりと、濃縮されたマンゴーらしい華やかな果実味。
糖度はしっかりあるのに、何故か甘過ぎると感じる要素が全くない。
何度でも頂きたくなる、マンゴー好きには堪らない一品です。

総じて感じるのは、確固たる土台があるからこそ成立する品々だということ。
それは、技術力や料理・食材に対する知識だけでなく、その背景にある文化や歴史に対する理解。そして、シェフ自身の原体験と合わせて咀嚼し、自分のものとして昇華させる力なのだと思います。
本当はもっとツラツラと書き続けたい、それほどまでにストーリーの詰まったお食事でした。

サービス

今回も何かと我儘オーダーしてしまったのですが、温かく臨機応変にご対応いただきました。
お食事に合わせてお米が欲しいとお伝えしたところ、とんだ迷惑なはずのに、明るく笑顔で「かしこまりました!」と仰ってくださりました。(一番忙しい時間帯だったかと拝察します)合わせてXO醤のおかわりもくださったのも、「分かってらっしゃる!」と嬉しくなりました。
また、今回ご担当いただいたソムリエの方には、お食事に合わせて柔軟に色々なワインをご提供いただきました。その中でも、この日イベントで一番忙しかったシグネチャー(館内のフレンチファインダイニング)から「取ってきました!」と笑顔でワインをご提供くださったことが心に残っています。
「少しでも、心残る体験をご提供したい」という思いがヒシヒシと伝わります。

まとめ

ホテルだからこそのパーソナライズされたホスピタリティと、ホテルでは中々頂けない土着のお料理にシェフ自身のストーリーを込めたお食事。
この時間の余韻と共に、次の訪問を楽しみにしています。


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