マガジンのカバー画像

リブレット

15
〜リブレット〜全14話 ある日突然彼女からのメール。 1日1回の彼女とのやりとり。 だけど、そのやりとりにルールを作った自分。 そんな彼女と俺のやりとり。 あなたは自分ルール…
運営しているクリエイター

#短編小説

リブレット〜1〜

ある日突然、俺のスマホに
「ひさしぶり❤︎覚えてる??」
とメールが来た。

それは、以前付き合いで行ったクラブの
女の子からだった。

俺は、
「覚えてるよ。久しぶり!!元気してた?」
とだけ返信した。

その日、彼女からの返信は無く朝になると
「もちろん、覚えてるよ。
        抱っこして欲しいなぁ」
と、返信があった。

俺は、勘が鈍い方ではない。

何か裏があると思った俺は普段ならこ

もっとみる

リブレット〜3〜

また、朝起きるとメッセージが来ていた。
今日は、メッセージと写真が添付されていた。

「新しいドレス。どーかな?」

黄色いドレスを着た彼女の写真と一緒に
送られてきた。

俺は
「お似合いです。」と、返信をした。

その日も彼女からの返信はなく次の日の朝には

「こっちは?」と、

黒いタイトな衣装を着た写真が一緒に
送られてきた。

例えるなら、峰不二子。

そのままを彼女に返信した。

その

もっとみる

リブレット〜4〜

次の日の朝、また彼女から返信が来ていた。
そんなたわいもないメールに対して、
俺は、SNSにイイね!をするかのように淡々と
返事をしていた。

そして彼女からメールがきて1ヵ月が経った頃。
ついに彼女の本性がでたメールが来たのだ。

「今月23日が誕生日なの。今回が20代最後なのだから、一緒にお祝いしてくれないかなぁ❤︎
1度だけのわがまま聞いて欲しい」

と言う内容だった。
結局、そう言う事か!

もっとみる

リブレット〜5〜

次の日、休日の午後、
また、彼女から返信があった。

「今日はお休みだから家の片付けをして
              くたくた。」
と言うメッセージと普段は派手なドレスと化粧で着飾った写真だが、
ナチュラルメイクとラフな格好の彼女の写真が
送られてきた。

俺は、

「今日も仕事でくたくた。」と

ただ
家でTVを観てるだけなのに少し見栄をはった。

その日彼女からの返信は無かった。

次の日

もっとみる

リブレット〜6〜

そんないつも通りの1日1回の彼女やりとりが
始まって、2ヵ月。

23日。

彼女の29歳の誕生日を迎えた。

その日彼女から
「今日は、20代最後の誕生日!やっぱり1時間
だけでいいから会えないかなぁ???」

俺は、
「仕事が忙しいから。ごめん。
          誕生日おめでとう」
と返信した。

今日は、俺からメッセージを送った方が
良かったのだろう。

だけど、自分のターンで終わらすと

もっとみる

リブレット〜12〜

彼女からメールが来なくなって数日。
俺は、毎朝スマホを手に取ってしまう。
そこに、海辺で撮っている彼女のアイコンは
表示されていない。

ただ、普段の朝に戻っただけなのに少し寂しい
気持ちだった。

それから、数週間たったある日。

段々とメールのない生活に戻りつつある頃
ふと今までのやりとりを読み返していた。

やっぱり左側だけが賑やかだった。

俺は、最後に彼女の働くお店へ行く事にした。

もっとみる

リブレット〜最終話〜

彼女は病気だった。

誕生日イベントを最後に入院しているらしい。

俺は病院へ行った。

そこには、
仕事モードの彼女からは想像できないくらい
痩せ細り、髪は副作用で抜けた彼女が生死を
彷徨っていた。

俺は、その場に居るのが息苦しくなり机の上に
あった冊子を無意識に震える手で持って病院の
外へ出た。

そしてその冊子を開いた瞬間。
全身に鳥肌が立ち胸が今まで感じた事がない
くらいに締め付けられた

もっとみる

リブレット〜エピローグ〜

彼女の30回目の誕生日。

彼女の育った町に電車は着いた。

海があり山があり彼女にお似合いの町だ。

駅からタクシーで少し走った所に
彼女は眠っている。

桶に水を入れ、柄杓を持ち、歩いて行く。

すぐに目に付いた。

色とりどりのお花が彼女を飾っていた。

写真のドレスのように。

本当に彼女は賑やかだ。

俺は、地味だけどお似合いの花と
あの日のリブレットを置いて手を合わせた。

そして、

もっとみる

あとがき

この物語は、僕が生まれてはじめて小説を
書きたいと思って書きました。
見よう見まねで。。

ストーリーは、
天真爛漫な彼女と少しクセのある彼のメールの
やりとりの話。
そのやりとりにルールを作った彼。

彼女は彼にメールをしたのは偶然なのか?
もし、必然ならばとても悲しいストーリーなのかもしれないけど、こんな形の恋愛があっても
いいのではないでしょうか?

きっと2人は、
こんな物語を描きたかった

もっとみる