リブレット〜エピローグ〜
彼女の30回目の誕生日。
彼女の育った町に電車は着いた。
海があり山があり彼女にお似合いの町だ。
駅からタクシーで少し走った所に
彼女は眠っている。
桶に水を入れ、柄杓を持ち、歩いて行く。
すぐに目に付いた。
色とりどりのお花が彼女を飾っていた。
写真のドレスのように。
本当に彼女は賑やかだ。
俺は、地味だけどお似合いの花と
あの日のリブレットを置いて手を合わせた。
そして、
「30回目の誕生日おめでとう」
するとさわやかな風が吹いた。
その日は珍しく彼女からの返信があった。
おわり