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雨の日には冷えたスプーンを一この世界でたったひとつのクッキー

お立ち寄り時間…5分

あなたが産まれた時
嬉しいよりも解放されたという気持ちがあった。

ああ、もう痛くないんだ
もう動けるんだ 
もう自由にしていいんだ。

あなたが1番欲しい言葉を伝えたくて

けれど、怖くなって
ただ、ただ、抱きしめた
産声が、あなたの匂いが、いまもずっと離れない

あなたを産んでよかったのかな。

そんな言葉が頭をよぎったことが何回もある
妊娠中は、辛かった思い出が圧倒的だ

けれど

泣き声が聞こえれば、体が勝手に動く
自分が壊れてしまっても
腕の中のあたたかいあなたを守りたいと思う
後悔を溶かすほどあなたが愛おしい

世界でたった一枚
幾千枚もある中で、割れないように、丁寧に
手探りで作り上げた、替えの効かないクッキー

1枚目のクッキー

いつかの教科書に、母は無償の愛、父は見返りの愛なんで言葉があった 

無償の愛

嫌われても、罵られても、抉られても、
何故か許してしまう。 

理由なんてない。 

愛してしまう、とめどなく、揺るがない。 

母になるとは、不思議だ。

子どものいる人生は、至ってシンプルで。
仕合せは、ありふれた毎日の積み重ね。

きっと、死んでからも愛してしまうんだ。

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