向上心のカタマリになれ! 知識の都、本棚。#2

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー ブレイディみかこ

今回は、ブレイディみかこさんの「僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を紹介する。

〈プロフィール〉

今年の3月ごろに図書カードを使って入手した。

現在は本棚の中央段に鎮座している。

〈解説〉

この話は「ぼく」の中学校生活を「母ちゃん」目線で語っているノンフィクションだ。

中学校といえば、僕は中学受験をした。

しかし僕はいわゆる「特訓」や「合宿」などのことはしていない。

大手の塾にも行かなかった…と言えば聞こえはいいが、実は父が塾の経営をしているので、直接教えてもらっていた。

志望の中学に入学して、みんなから祝われた。

そのときに親戚からお祝いとして図書カードをもらい、合計2万円分の大金が財布に入った。

その2万円で約1年間豪遊し、本書もそのお金で買った。

ところで、今僕の財布には残り300円くらいの図書カードが入っている。

もともとそのカードは合格祝いのものなので「10000」という字が躍っている。

このカードが非常に使いにくい。

書店で使おうとすると「これ300円しか入ってないので残りは現金で」と言わなくてはいけなくなり、なんだかかっこ悪い。

男として、「これで」とお金が全額入ったカードを使ったほうがカッコいい。

財布をわざと店員さんに見せるようにして図書カードを探し、クレジットカードのゴールドカードがキチンと入っていたら完璧だ。

決してスーパーのポイントカードを見せてはいけない。

話が逸れた。

本書の舞台はイギリスだ。

「ぼく」は、秀才たちが集まるカトリックの小学校に通っていたが、中学校に進学するとき、その学校に残らずわざわざ地元の「底辺中学校」に入学した。

そこで目の当たりにした、「人種差別」や「貧富の格差」は「ぼく」の心の部分にまで影響を及ぼす。

題名の「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」も「ぼく」の葛藤から生まれた言葉だ。

そんな「ぼく」の苦悩と成長を母ちゃんは見守りながら、「母ちゃん」自身も学んでいく。

何も新しいことを書いていないのに、なぜこんなに売れているの?と疑問の声をあげていた人がネット上にいた。

確かに、特に世界に衝撃を与えるような事実が出てくるわけでもない。

ノーベル賞を取ったわけでもない。

それでも、多くの人の心に残っているのは何故か?

それは、著者の「前向きな姿勢」にあると思う。

次々と押し寄せてくる問題に対して、間違った対応をしたかもしれない。

それでも前を向き続け、反省を次に生かし、少しづつ成長していく彼女らの姿が、我々の心を打つのだ。

いわば向上心のカタマリだ。

数年後、ブレイディさんが日本中、世界中を震撼させていることを期待して、この文を終える。





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