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季報:映画『きみの色』と自分自身のうつくしさを照らすこと

季報:映画『きみの色』と自分自身のうつくしさを照らすこと

※映画『きみの色』のネタバレを含みます。

 先日、山田尚子監督『きみの色』を観た。監督を山田尚子さん、脚本を吉田玲子さん、音楽を牛尾憲輔さんが担当している、完璧な布陣によるオリジナルアニメーション映画だ。
 観終わったあと、しばらく呆然としていた。この作品について語ることばをずっと探して、うまく見つからなくて、今でも探しつづけている気がする。
 あらゆる創作物は受け取るタイミングによって印象が変

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季報:『楽園へ*無垢なる望みのアブソリュート』、そして愛により青年へと羽化すること

季報:『楽園へ*無垢なる望みのアブソリュート』、そして愛により青年へと羽化すること

※『あんさんぶるスターズ!!』の『楽園へ*無垢なる望みのアブソリュート』のストーリーの核心にふれています。

 私が楽しく遊んでいるソーシャルゲーム『あんさんぶるスターズ!!』では、ユニット新曲クライマックスイベントを順次開催している。いくつものユニットの「最高潮」を描き、ついにEdenの番が訪れた。不穏な予告にかすかな緊張を抱きながらも、彼らの「最高潮」がどのように定義されるのかを楽しみにしてい

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季報:泊まれる演劇『Moonlit Academy』とあなたの月がそこにあること

季報:泊まれる演劇『Moonlit Academy』とあなたの月がそこにあること

※2024年1月19日〜3月17日開催 泊まれる演劇『Moonlit Academy』の物語の核心にふれています。

 触れるだけでスプーンを曲げてみたかった。まるで散歩するように宙を浮いてみたかった。
 斜に構えた子どもだったから、私に超能力が備わっていないことに気づくのはそう遅くもなかった。どれだけスプーンに手をかざしてもびくともしないし、私の足は地を踏みつづける。

 それでも世の中には超能

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季報:『軋轢♦︎内なるコンクエスト』、そして相互理解のこと

季報:『軋轢♦︎内なるコンクエスト』、そして相互理解のこと

※あんさんぶるスターズ!!の『軋轢♦︎内なるコンクエスト』のストーリーの核心にふれています。

 私が楽しく遊んでいるソーシャルゲーム『あんさんぶるスターズ!!』では、ユニット新曲クライマックスイベントというものを順次開催している。残すところあと数ユニットとなり、私がこよなく愛するユニット『Eden』の順番が訪れるのももはや秒読みの状態である。
 せっかくなので、彼らのこれまでの物語を振り返ってお

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季報:文房具と美術のこと

季報:文房具と美術のこと

 先日といえるほど最近のことでもなくなってしまったのだけれど、このようなメッセージをいただきました。ありがとう。 

■文房具のこと

 文章を書くことを愛しているから、どうしても筆記具に心が惹きつけられてしまう。私は万年筆で日記をつけて、手紙を認め、思考とタスクを書き留める。
 その際に愛用しているインクが、PILOTのiroshizuku【色彩雫】シリーズだ。万年筆用のインクとして販売されてい

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季報:『The Cosmic Wheel Sisterhood』が突きつける運命のこと

季報:『The Cosmic Wheel Sisterhood』が突きつける運命のこと

※ 『The Cosmic Wheel Sisterhood』のゲーム性や終盤の展開に言及しています。致命的なネタバレはありませんが、プレイ前に読むとあなたのゲーム体験を著しく損なう可能性があります。
※『The Red Strings Club』の核心にふれています。

 『The Cosmic Wheel Sisterhood』をクリアした。途方もない体験で、この文章を書いている今でもどこか放

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季報:『ガーディアンズ◆アイとラストミッション』、そして愛のこと

季報:『ガーディアンズ◆アイとラストミッション』、そして愛のこと

※あんさんぶるスターズ!!の『ガーディアンズ◆アイとラストミッション』のストーリーの核心にふれています。

 私が楽しく遊んでいるソーシャルゲーム『あんさんぶるスターズ!!』では、ユニット新曲クライマックスイベントというものを順次開催している。「物語はそれぞれの最高潮へ」と銘打たれてはいるものの、ソーシャルゲームという媒体の性質上その変容には限界がある。そのようなことを考えていたからこそ、2023

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