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ショートショート

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2021年4月の記事一覧

ショートショート(2話目)夏祭りの日しか開かない喫茶店

夏祭りが終わり、わたしは自宅へと歩いて帰っていた。 夜の9時とはいえ、まだまだ暑さは厳し…

ショートショート(11話目)シェアリング彼氏

「映画でもいこっか」 翔琉(かける)はアイスコーヒーを飲みながらそう言った。 日曜日、い…

ショートショート(10話目)ショートショート作家の苦悩

アイデアが出てこない。 ショートショート作家の蛍(ほたる)は行き詰っていた。 4年前、蛍…

ショートショート(9話目)知らない公園のプラネタリウム

夏。 空は青い絵の具を散らしたようだった。 殺人的な暑さも、どこか気持ちがいい。 この1…

ショートショート(8話目)必要ないけど欲しいんだ。

世の中には必要ないけど欲しいものがある。 例えば、最高時速300キロのスポーツカー。 日本…

ショートショート(7話目)時の商人

もう若くない。 50歳になった栄治(えいじ)は、そんなことを思いながら高架下(こうかした)の屋…

ショートショート(6話目)タイムマシンなんてないさ

僕にそっくりな男は言った。 「僕は3年後の未来からきた君だ」 それから男は、1年後に東京で大地震がおこるとか、いま僕が勤めている会社は2年後に潰れるとか、そんな話をした。 タイムマシンなんてない。 僕は思った。 なぜなら、もしもタイムマシンがあったとしたら、未来の僕は5年前にいくはずだからだ。 5年前、僕は恋人の沙耶子(さやこ)と別れた。 原因は僕の浮気だった。 沙耶子は最高の女性だった。 いまでも、浮気をした自分を後悔している。 僕は言った。 「もしも

ショートショート(5話目)わたしとつきあう時の3つのルール

真っ赤なポルシェは首都高速を走る。 運転席にいるのは達也。 達也は将来を嘱望(しょくぼう)…

ショートショート(4話目)商店街の占い師

キャンピングカーを運転しながら、ドリンクホルダーの缶コーヒーに手を伸ばした。 時刻は18時…

ショートショート(3話目)左折しかしない男

〜2020年4月〜 拓也とはじめて出会った日は、桜の咲く温かな日だった。 毎朝の散歩が日課の…

ショートショート(1話目)地下鉄リニア

7時のアラームが鳴り いつもどおりの朝がきた。 顔を洗い、髪をセットして、オフィスカジュア…