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実家ご飯と泥酔妻

 昨日は妻が会社の同僚と飲みに行くというので隣町の繁華街まで送っていった。

 待ち合わせ時間は夕方六時、道が混んでいて三分くらい遅刻したが無事に合流できた。

 飲み終わったら迎えに行かなければならないので昨日も休肝日。

 その足で知り合いから貰った立派な栗のお裾分けを実家に持っていった。

 何の連絡もなしに急に訪れたので、何どうしたの?と母に聞かれたが栗を渡すとうわぁ、嬉しいわぁありがとうとご機嫌になった。

 それから相変わらずテレビで二時間物の刑事ドラマを熱心に観ている父に挨拶をした。

 おう、いらっしゃいという父の左手に包帯がグルグル巻きになっているのに気が付いた。

 父ちゃんその手どうしたの?と聞くと数日前に趣味である大工仕事をしている時に電動の丸鋸の操作を誤ってザックリと切ってしまったらしい。

 血が止まらず慌てて近所の病院に駆け込んで止血して縫ってもらおうとしたらあまりにひどいので総合病院に行くように言われたそうだ。

 そこで良く調べて見ると指の腱が一本切れており、もう少しずれていたら指が動かなくなるという重傷だった。

 それから14針ほど縫ってもらって毎日消毒に病院に通っているとの事。

 怪我の直後は痛みで眠れないほどだったそうだが、昨日位からだいぶ痛みも引いてきて楽になってきたらしい。

 聞いているだけでうひぃ、痛いというケガでもう歳なんだから危険な作業は一人でしないで私が手伝うからと言ったらちょっと不服そうだった。

 そんな話をしていると母からせっかく来たんだから晩御飯食べていく?と聞かれたのでありがたく頂くことにした。

 それから台所に立って調理の補助をした。

 と言ってもキャベツを刻んだり刺身のツマを作ったりという簡単な作業。

 昨日のメインはチキンカツだった。

 日ごろ揚げ物をしないので楽しそうだったので揚げさせてもらった。

 油の温度は高性能のガスコンロが勝手に調整してくれるのでタイミングを見て鶏肉をひっくり返すだけでいいので揚げ物下手の私でも難なくできる。

 その間に母は副菜で作っていた大根の煮物を温めたり、刺身を引いたりしていた。

 カラリとチキンカツが上がったので家族でいただきます。

 昨日は兄もいたので四人での食卓。

 普段ならばビールを飲むのだが昨日はお茶でガマン。

 早速揚げたてのチキンカツにウスターソースをかけて齧る。

 ジュワッとチキンの脂が口の中に広がりアチチとなる。

 味はもちろん最高。

 日ごろはせいぜいお惣菜の唐揚げをトースターで温めるくらいなので雲泥の差である。

 揚げたのが自分なので美味いなぁと自画自賛しながらパクパク食べた。

 合い間に刺身も頂く。

 ハマチとコチという豪華版。

 小皿に醤油を注いでワサビをチョンと乗っけてハマチから。

 身がコリコリとしており鮮度の良さが伝わってくる。

 脂の乗りも抜群でこれだけでご飯が進む。

 次にコチを食べるとこちらはもっちりとした歯ごたえで旨味が濃い。

 どちらも鮮度の良さがよくわかるいいお刺身だった。

 実家では刺身は必ずサクで買ってくるので引き立ての物が食べられてうれしい。

 箸休めに大根の煮物を食べると滋味深くいかにも母が作ったと舌が覚えている味だった。

 乾燥の小エビを入れるのが味の決め手だと言っていた。

 そんな話をしながらご飯を食べているともののニ十分で兄は完食して自分の部屋に戻っていった。

 私が早っと言うといつもこんな感じだぞと父が答えてくれた。

 父は手をけがしているのにお酒を飲んでいたのでいいの?と聞くと体の中から消毒しているんだとうそぶいていた。

 私は普段の晩御飯はどんなに短くても一時間はかかるので食事のペースが合わなくて少し掻き込むようにしてピッチを上げて食べた。

 腹八分目でごちそうさまをして後片付けをして妻からの連絡を待っていた。

 ところが飲み会が盛り上がっているのかいつまで経っても連絡がない。

 十時過ぎまで実家にいたがさすがに夜が遅くなるのでいったん帰宅。

 いつ連絡があるかわからないので手元にスマートフォンを置いて本を読んでいたらウツラウツラしていつの間にか眠っていた。

 ……ピロンというLINEの着信音が聞こえたので飛び起きた。

 時計を見ると午前一時を大きく回っていた。

 妻からのメッセージはお迎えお願いしまーす、ウェーイというご機嫌なものだった。

 それから深夜の点滅信号だらけの道を迎えに行った。

 駅前にいるというので車を停めるとすぐに気が付いたらしく乗り込んできた。
 
 プゥーンとアルコールの匂いが強烈にしたのでどのくらい飲んだの?と何気なく聞くとへべれけでーすと言ってケタケタ笑っていた。

 あーこりゃ大分回っているなと思いながら何やら色々喋りかけてくる意味不明の言葉に相槌を打ちながら帰宅。

 妻の部屋まで連れていくとお風呂に入る!と言ってきかなかったが深酒の後のお風呂は危険なので止めてもらうように説得するのに骨が折れた。

 そこから小一時間酔っぱらいのお喋りに捕まって解放されたのは三時前だった。

 普段なら目が覚める時間帯なのだがさすがに私も眠かったので布団に潜り込んですぐに眠りに落ちた。

 今朝は少し遅めの六時起床。

 妻はお昼の一時過ぎまで部屋から出てこなかった。
 
 案の定二日酔いらしく気持ち悪いと言ってぐったりしていた。

 でも楽しかったんだよぉという言葉を聞きながら、最近ここまで飲んだことが無いなぁと少し羨ましくもあった。

 今日の晩御飯は何かあっさりしたものにしよう。

 飲み過ぎて帰っ~ても♪

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