第4ステップは、「こんなとき、どうするんですか?」を目指す その3
理科で「電池の働き」の勉強をしている。今、担任の先生が説明を終えて、問題プリントを配った。
村内先生は、今日はよし君に呼ばれてもすぐには行かず、わざとちょっと遅れていこうと計画していました。
だから、村内先生は困ってそうな表情をしている高橋さんを見つけ、まずそこへ支援に行きました。よし君は、最近よく説明を聞くようになったので、プリントも最初のうちは自分できることが多くなっていました。様子をう伺うと、何やらプリンに書き込みをしています。今のところ、大丈夫のようです。
村内先生は、高橋さんに、直列つなぎと並列つなぎでは、どちらの風車が早く回るか説明していました。ちょうど、それが終わったときに、よし君が手を挙げて小さ声で「村内先生!」と呼ぶのが見えました。
村内先生は、口に指をあてて黙って手を上げるように合図しました。それから、「ここが終わったら、行くから。待ってて。」手だけで説明しました。よし君は、少しですが嫌な顔になっています。
村内先生は、わざと高橋さんに「頑張ったね。」とか「もう他に、分からないところはありませんか?」などと話をして時間を使ってから、よし君のところにやってきました。
村内「ごめんごめん。少し、遅くなりました。高橋さんを教えてたので、途
中でやめられなかったんよ。」
よし「俺も、分からんと合図したじゃないか。」
村内「だから、終わったらすぐ来たでしょう。先生は、このクラス全員の先
生なんだから、仕方がないんだよ。いろいろな生徒を押しないといけな
いんだよ。でも、ちゃんと来ただろう。」
よし「でも、すぐ来なかった。」
村内「前にも、説明したけれどもう一度言うね。君が呼んだら、先生は必ず
助けにやってくる。それは、間違いない。でもね、今日みたいに直ぐこ
れないときもあるんだよ(「覚えて」)。分かってください。今日だっ
て、ちゃんと来ただろう。先生は、約束を守るいい先生だろう(「愛
着」)。」
よし「そうだな。来たことことは来たから。まぁ、いいや。」
村内「それで、どこが分かりませんか?全力で教えますよ。」
よし「じゃ、全力で聞くけど、この図はそもそも、直列なの?並列なの?」
村内「分かった、そこからね。実は、この図は意地悪問題で、並列に見える
ように書いた直列の図で・・・」
村内先生の解説は、続きました。村内君は、なぜか、楽しいそうに聞いています。村打先生が、そばにいるのがだけで嬉しいのでしょうか?
そして、問題が分かると、よし君は自ら「ありがとう」と言ったのでした。村内先生は、ちょっとうれしくなりましたが顔には出さず、次の困っている子を探し始めました。