第1ステップは、なんでも支援してあげて信頼関係をつくる その3
教科書を机から出してあげる
もう一つ、事例を書きます。この時期大切なのは、本当に助け来たと信じてもらえるよな態度で近づいていくことです。「近づいても、嫌がられない」ことが、ポイントです。これには、人格や才能がものいうかもしれません。
それを「支援マインド」と読んでいます。つまり、支援者に向いているということです。体全体から「助けに来たよ」というオーラが出ているとも言っています。
よし君が、算数の教科書も出さずに、横の女の子にちょっかいを出しています。担任の先生が村内先生に、目で合図を送りました。
村内先生は、これは「勉強が分からない」という合図ではなく「単に怠けているだけ」か「教科書を忘れただけ」だなと判断しながら、よし君に近づいていき小さな声でささやきました。
村内「よし君は、教科書を出してないね。面倒くさいのかな(「想像」)?
それとも、持ってきてないのかな(「想像」)?」
よし「面倒くさい。」
村内「そうか、面倒くさいのか(「共感」)。でも、今、教科書で説明して
いるから、教科書がないと分からなくなっちゃうよ。」
よし「じゃ、出してよ。」
村内「教科書を出して欲しいんだね(「共感」)。分かった。じゃ、親切な
村内先生が出してあげよう({愛着」)。その代わり、担任の先生が説
明してる問題やってくださいね。」
よい「あんなん、簡単。話、聞かないでも分かるわ。」
村内「そうか。もう分かっているのか(「共感」)。でも、次やるのは、少
し難しいよ。例題ではく、教科書の問題だからね(「覚えて」)。やっ
ぱり出しましょうね。机の中にあるかな?」
村内先生は、よし君のぎゅうぎゅうに詰まった机の中から、教科書を全部出して床に置きました。そこから、算数の教科書を引っ張り出すと、よし君の前に広げてあげました。
村内「今やっているのは、133ページだよ。こうやって広げて、アイロンを
かけるといいよ(「覚えて」)。」
そう言って、教科書の真ん中を手のひらで何度も押さえつけました。
村内「こうやると、教科書が塞がらなくなんだ(「覚えて」)。覚えておい
てね。そして、ほら、この問題①と②を次にやるらしいよ。もうわかっ
ているんだったら、先にやり始めたら。ほら、ノートも出してあげた
よ。どう、教科書とノートまで出してあげる、村内先生はいい先生でし
ょう(自己宣伝)。」
そういって、よし君に肩に手を置きました(「スキンシップ」)。すると、よし君は鉛筆を持って問①をやりはじめました。答えは、ちゃんとあっています。「すごいね」と言いながら、村内先生はよし君の手を持って握手して振って上げました(「スキンシップ」)。
よし「もう、1回やって」
村内「もう1回、握手して欲しいのかな(「共感」)。分かった。じゃ、問
②ができたらやってあげましょう。」
もちろん、よし君は問②をやって盛大に握手してもらいました。そして担任の「問①と問②ができた人は、先生の机のとこまで持ってきて下さい」という指示に、真っ先に従っていました。そして、村内先生の方を見て、手を振りました。