第2ステップは、信頼関係を利用してルール・常識・マナーを「覚えて」もらうその4
授業中に消しゴミの投げ合いをする子ども(続き)
村内「どうしました?翔君に、なにか腹立つことでもありましたか(「想
像」)?よし君は、なにもないのに、消しゴムとか投げる子じゃないと
先生は思っています(「共感」)。」
よし「翔のやつ、腹たつ。」
村内「何があったか。、教えてください。」
よし「休み時間に、帰ってくる時、何もしてないのに、クツ箱で急に叩いて
きた。」
村内「それは、腹が立つね(「共感」)。だから、消しゴムを投げたんだ
ね。」
よし君は、少し落ち着いたようです。
村内「ちょっと、待っててください。それが本当なら、先生が、翔君をこっ
ぴどく怒ってきますからね。」
よし君は、少し納得したようです。村内先生は、授業を邪魔しないように、そっと翔君のところに移動しました。
村内「翔君。どうしましたか?消しゴムの投げ合いなんかして。『君は、何
もないのに、そんなことしない子どもだ』と先生は思うんだけどな(「想像」)。」
翔君「よしが、俺が何もしていないのに、消しゴムを投げてきた。」
村内「よし君は、先に翔君が休み時間が終わって帰ってくるときに、叩いて
きたと言っているよ。」
翔君「叩いてない。タッチしただけ。鬼ごっこしてたから。最後にタッチさ
れたから、次は、あいつが鬼だ。」
村内「分かったぞ。君はまだ鬼ごっこしているつもりでタッチしたのに、彼
は鬼ごっこが終わっていると思っていたので、それを『叩かれた』と思
ったんだ。そういうことか!勘違いで、よし君は怒っていたんだ。」
翔君は、考え込んでいるようです。
村内「チャイムが鳴ってからタッチしたから、こんな勘違いが生まれたん
だ。次からは、チャイムが鳴ったら鬼ごっこは、おしまいだと覚えてお
きましょう(「覚えて」)。分かった?」
翔君「分かった。覚えた。」
注)翔君にもコミュニケーションの弱さがあるので、謝ってい
ません。本当は、ここで翔君が自分から『ごめんなさい』を
言う場面です。
村内「じゃ、そのように、よし君に伝えてくるね。『チャイムが鳴ったの
に、タッチしてごめんね』と翔君が言ってると言ってくるけどいい?」
翔君は、渋々納得しました。村内先生は、素早くまた、よし君のところに戻りました。授業の邪魔をしないように、ささやき声です。
村内「翔君に、話を聞いたよ。叩いたんじゃなくて、鬼ごっこのタッチだっ
たらしいよ。」
よし「チャイムが鳴って、鬼ごっこは終わってた。あれは、叩いた。」
村内「そうだよね(「共感」)。そう思ってしまったんだよね。だから、先
生は、翔君が間違っていると、強く叱ってきたんだよ。そしたら、翔君
は『チャイムが鳴ったのに、タッチしてごめんね』と言ってたよ。」
よし君は、翔君の方を睨んでいます。でも、興奮は収まっています。
村内「どう、翔君を許してあげようよ。」
よし君も、しぶしぶ納得仕様です。「分かった」と言いました。
村内「じゃ、今度は君の番だ。間違ったのは、翔君だけれど、それに対して
消しゴムを投げたのは間違いだったね(「覚えて」)。腹が立ったの
は、よく分かるよ(「共感」)。でも、『どうして、叩くんだ?』と聞
くべきだったんだよ(「覚えて」)。そしたら、翔君は『タッチしたか
ら、よしが鬼だ』と答えたはずだから。分かった?」
よし「分かった。次からは、相手に聞く。」」
村内「いい覚え方だね(「共感」)。じゃ、悪いけど『消しゴム投げて、ご
めんね』と翔君に行ってくれる。小さい声で言って。そしたら、先生
が、翔君に、それを伝えてくるから。」
よし君は、あまり乗り気ではないようですが「消しゴム投げて、ごめんね」と言いました。村内先生は、それを受けて翔君のところへ行き「よし君が、消しゴム投げてごめんなさい」と言っていたよと伝えました。すると、今度は自発的に翔君も「僕も、消しゴム投げてごめんなさい」と言いました。
昼休み時間には、2人を入れて8人程で、また鬼ごっこが始まりました。