《思考の柔軟性が弱いタイプ》のアセスメントとその支援の方法 その32 実例の細部から、支援の方法の本質を学ぶ-㉖ 《自分ルール》が変更できない場合
事例26 《自分ルール》が変更できない
金髪ケース
中学校3M年生のZさんは、ある日急に 金髪にしてきた。校門で見つけた先生が「家に帰って、染め直してから登校しなさい」と指導した。しかし、Zさんは、平気で教室に入り授業を受けた。
それから、毎日のように指導が続いたが、一向に元の髪に戻そうとしない。どうやら、最近読者モデルをやり始めて「撮影で必要なので、黒くはできない」らしい。そうこうする内に、親が出てきて「子どもの夢を潰さないように、特例を認めて欲しい」と言ってきた。
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【解説】Zさんが「金髪にしている」は《自分ルール》です。それには、本人の思い込みだけではなく「職業的に必要だ」という理由もついています。しかし、かってに金髪にする前に、学校に一言相談するのが、普通のルール・常識・マナーです。
こういう場合、校則を曲げて例外的に認めてあげたいですが、そうはできないのが学校です。将来は、髪の毛の色くらい自由になるかもしれませんが、まだ、今のところルールは厳しいようです。他の子がしたいと言ったときに「Zさんは、働いているので例外です」は、子どもたちには通じない理論なのです。
※校則は80年代に、学校が荒れたとき定めれらたものが現在も残ってい
ます。その頃、荒れた子どもたちがしていたことを禁止することで、
荒れている子ども指導しようとしたものです。つまり、時代遅れな状
態のまま取り残されています。早急に、見直すべきものだと考えま
す。
【セリフ】事前の話し合いの様子です。
先生「どうして、金髪にしているのか、もう一度言ってくれますか?」
Zさん「今度、仕事で、オーディションがあります。その時の条件が金髪な
んです。」
先生「そうか、オーディションで必要なのか(「共感」)。自分の都合だけ
ではないということだね(「想像」)。じゃ、その直前に染めて、
終わったらすぐもとに戻せませんか?」
Zさん「事務所の話では、オーディションは何回もあって、半年くらい続く
そうです。」
先生「そうか、すぐには戻せないのか(「共感」)。でも、学校の規則は、
基本黒髪だからな。金髪のままで登校は、難しいな。」
Zさん「どうしても、そのオーディションを受けたいんです。私の夢がかか
っています。」
先生「そうだ。金髪を認めてくれる、私立学校にでも転校したらいいんじゃ
ないか?探せば、あるだろう。」
Zさん「もうすぐ、卒業です。みんなと卒業したいです。」
先生「そうか。そうだよな。3年間一緒だった友達と一緒に卒業したいよな
(「共感」)それなら、この案はどうだろう。黒いウィッグを被って
登校する。」
Zさん「それなら、ちょうど持ってます。」
先生「そうか。この案を校長先生と相談して認めてもらおう。」
Zさん「ありがとうございます。」
先生「ただし、みんなにウィッグだぞと言いふらしたり、学校で取ったりし
てはだめだよ(「覚えて」)。いいですか。」
Zさん「分かりました。」
先生「じゃ、どう決まったか、1回言ってみてください。」
Zさん「金髪にしてもいいが、学校には黒いウィッグを被って登校する。ウ
ィッグだと言いふらしたり、ウィッグを取ったりしない。」
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