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野生~鏡の森~

森のなかでKは迷子になる。木々の枝にはオランウータンがいて、ヤンキー座りでKを見下ろしている。陶器の置物のようだが、標的Kを目がけて小便を放つところを見ると、ちゃんと生きているらしい。何匹ものオランウータンが、勢いよく、鹿爪らしい表情ひとつ崩さず、小便の雨を降らせる。そういうことか、熱帯雨林はこうなっていたのか、Kが合点したのは、まるでクローン再生されたようなオランウータンの各々が、実は合わせ鏡に映っていることだ。ムッとする草いきれに混じり、すぐに蒸発して、文明以前のどこか懐かしい一滴一滴は、森全体のグラデーションをくすませる。

日の射すほうへ逃れて、Kは湖畔に出る。朗らかな笑い声が聞こえる。湖の浅瀬で十数人の女学生が、たったいま寄宿舎を抜け出してきたかのような開放感に弾けて、水を掛けあっている。キャピキャピ煌めく彼女たちは、紡錘形に膨らんだ19世紀のドロワーズを履いている。

上半身は素っ裸だ。恥じらいも臆面もなく、ただ持て余した若さに身を委ねている。水飛沫が、揺れる乳房に、肉感的な肌に、美しく跳ね返る。Kと目が合う。一瞬の静止のあと、女学生たちはいっそう賑やかに笑う。鬼ごっこの続きさながら、はしゃいで森の中へと逃げ込んでいく









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