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営業にとって携帯電話は商談を取るための命綱


前回ようやく一人前の営業になった私の日頃の行動のことをお話をしました。たった5分でもいいから毎週お客様先に顔を出すことをモットーに頑張っていた、という話でした。

そんなある日、私が毎週顔を出していた他社製品をお使いの大きな会社さんからお声がかかりました。「大型コンピューターの入れ替えを考えている。君もその商談に参加してみないか。」という話でした。

コンペの誘い

営業をやっている人ならよくわかると思いますが、他社製品を使っているお客様からコンペの誘いを受けるということは、本当にラッキーで光栄なことです。なぜなら、そのお客様からしてみれば、私など付き合いのない他社の業者にすぎません。そんな私にチャンスをくれるのですから、こんなに嬉しいことはありませんでした。

私はすぐに会いに行きました。けれどもまだ詳細は決まっていないということでお話はできませんでした。

しかしお客様の方から、「いちいち事務所の電話は面倒だから君の携帯番号を教えて欲しい」と言われました。そして、次の日からはお互い携帯でやり取りをする仲になりました。

実は営業が担当のお客様と携帯で直接やり取りできるということは、一歩前進どころか百歩ぐらい前進したくらいの価値があります。

なぜならお互い帰宅後も会話ができるし、ヘタをすれば休日でも会話ができるからです。

これは営業マンにとって、大きな価値です。

携帯地獄

しかし喜んだのもつかの間、携帯にものすごく頻繁に電話がかかってくるんです....会議中も、食事中も、プライベートな時間にも...

一度、電車で移動中に電話がかかって来て出ることができず、とっさに留守番電話にしたら、後でめちゃくちゃ怒られたことがありました。まるでお客様の担当者は人が変わったように、誠実な人からまるでヤクザになったかのような怒り様でした。「俺からの電話はどんな時でも必ず出ろ!」と、怒鳴られました。

営業にはいろんなお客さんがいます。絶対に怒らない優しい人もいればちょっとしたことでも怒鳴り散らす客様もいます。でもこの方の怒りようは尋常ではなく、私も震え上がりました。

その日を境に、私はこの方の電話を何があっても出るようにしました。そして上司にも理由を話し、会議中でも電話に出る許可を取っていました。

電話はほぼ毎日、回数は1日に3回から4回が普通のペースでした。ほとんどが世間話でしたが、時には秘密の情報もほんの少し混ぜて教えてくれました。

上司からの命令

こんな毎日を繰り返しているうちに、お客様の方からどんどんと商談の内容を細かく説明してくれるようになってきました。完全にライバル社よりもリードをしている、そんな実感がありました。

これでライバル社の提案内容と値段が分かれば、もう怖いものなどありませんでした。ただどうしてもその情報だけは、さすがにお客様も私には教えてはくれませんでした。

そんなやりとりをしていることを上司に報告をすると、「これはひょっとしたら脈があるんじゃないのか」と言い出しました。

「お客様の対応のやり方は全てお前に任せる。だから必ずこの商談は奪い取れ!」

上司からそう言われました。

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本日はここまでとさせていただきます。次回また続きを書きたいと思います。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。


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