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「蒼穹の昴」気づいたら4回も見ていたって話。

姉さん事件です!!

宙組の民を自称するこの私が、蒼穹の昴を4回も見たなんて…他組の作品って余程面白かったり誰かのピンチヒッターだったり。そんなんじゃない限り「大劇場は各組1回ずつ見ておく」程度のスタンスなんですよ。だって今回だって元々自分で取ったチケットは1枚だけだったのに…(笑)ご縁があり新人公演を含めての4回。初めて宙組以外の新人公演にお邪魔したわ。

誰だ!この私を雪組の沼に全力で手招きしているのは!!

まず、もう本当にこのご時世なのにと心配するぐらいに全力でお金を掛けてるんだろうな。劇団だって公演中止が相次いで懐の事情だってよろしくなかろうに…なんて事を心配してしまうレベルでの気合の入り方。パンフレットは値段変わらないのに重みが違う。舞台演出や京劇指導の先生のインタビューまで載っていてそれだけで1つのボリューミーな資料。表紙を含めデザイン構成も凝っている。パンフレットを普段買わない人も今回は必見!!

唯一の難関と言えば、誰が「ようきてい」で「えんせいがい」で「えいろく」なのか問題。役名がややこしい!4回も見たらさすがに理解したけど、ここがハードルの高さかなと思う。原作ファンなら余裕かもしれないけど…そう言う意味でもパンフレットは必見。

片田舎の青年から国家の中心部に登り詰める。青年から試験に合格し徐々に立場が変わっていく。梁文秀と言う1人の人間の時空までも表現する彩風咲奈様。さすがっす。今で言うエリート官僚みたいなものかな。最初の頃の喋り方に若干夢介を彷彿させるんだけど、試験で死にかけたじーさんの介抱をしたり、弟分たちの面倒を見る優しさや他人に対しての愛や情の深さ、改革を推し進める中で見せる聡明さ、とにかくもうスケールの大きな人間像なの。

朝月希和さん演じる李玲玲とは恋人ではない設定だけど、その大きく深い愛で玲玲を守る姿は胸に来る。希和ちゃんも最初貧乏な子供のいで立ちで出て来て、最初子役の下級生だと思っていたら本人だったのにびっくりした。朝美絢さんもあの学年で子役だったもんね。母を失い兄と離れ離れになり文秀に救われる。献身的に文秀や周囲の人達を支え、タンストンとのとーっても淡い恋を経てラストの場面。トップ娘役の退団公演でラブシーンもなくハッピーエンドとも取れるか分からないラスト。賛否両論別れる部分だけど、これはこれで文秀の玲玲への愛の形としていいんじゃないかなと思う。

朝美絢さん。あーさは今回どんだけ身体張っているのかと思うとね。子役だし京劇のシーンもあるしどれも隙が無く。文秀の前では少年時代の無邪気な春児に戻って泣きじゃくる。良き兄貴分としてのリスペクト、立場は違うが紫禁城の中で生きる2人の生き様が描かれている。あーさは下級生時代から注目されていて、何度も新公主演を果たし早くからバウ主演などの機会に恵まれて来た。巡ってくるチャンスと己の力量のギャップに悩んでもがいて努力して来た人なんだろうな。努力の人の証明と言える役だと思う。

縣千さんの雰囲気が帝たるそれ。優しく頼りなくも西太后が引退した後は自分なりに皇帝として国をどうあるべきか?に悩み迷う。その葛藤がまた悩ましくて作品の世界観を引き立てる。本当に籠の中の鳥さんなんだろうね。純粋だし浮世離れしている。新公の聖海由侑さんは「西太后様もうちょっと待ってー」って言いたくなる幼さも残っててこの役作りも面白かった。

6人もの専科さん。専科さんの特出ってせいぜい多くて2人ぐらいなのに6人も!京三紗さん・汝鳥伶さん、と字面だけでも胸焼けレベルに強いのに、一樹千尋さんに夏美ようさんと言った特出したらビシッと背筋が伸びる名専科様たち。憎めない味わい深い役と言えばの悠真倫さんは期待を裏切らないし、スター専科様こと凪七瑠海さんは堂々とセンターでその美と貫禄を振りまく。オーラが違うわ。専科さんの特出って役どころによっては専科さんの役があるが故に組子の役が減ると言うジレンマがつきものなんだけど、この6人は「この6人でしかあり得ない」んですよ。あれだけの芝居巧者揃いの雪組を持っても、この6人のお役は専科さんでしかあり得ないよねと言う説得力。

一樹千尋さんの西太后、序盤はどちらかと言うと悪者っぽく描かれているんだけど(土壇場で演目変えろ!とか推し(黒牡丹)を出せ!とか)西太后は西太后の孤独があり国家や光諸帝を思う気持ちを持つ。敢えての悪役でいようともする。ヒロさんのビジュアルからセリフの言い方から仕草表情まで、これぞ専科様のお芝居っすよ。組子、めっちゃ勉強になったやろうね~。新人公演は夢白あやちゃんが演じていて、そりゃぁもうヒロさんの貫禄や深みと比べちゃいかし「年老いたこの身が憎い…」って言ってもあなた若いっすよ?ってなるけど次期トップ娘役になる彼女にとってこのタイミングで良い役を経験できたな。彼女なりに色々考えた役作りは面白かった。

和希そらの順桂。私ら宙組ファンは心の何処かに「宙組時代の可愛いそらちゃん」が残ってるんだけど、もうすっかり雪組の和希そらさんだった。立派です。冷静でトーン低めのセリフに何処となく腹に一物を据えている雰囲気。満州族としてのプライド。やり方はまずかったし命は落としたけど彼の信条の元に起こした行動。文秀がいくら問いかけてもこの信念は揺るがないだろうなあ。しかしあのそらちゃんがあんな深いお芝居するなんてねー。宙組ファンの私、あの和希そらから「妻と子がおりますので…」なんて言われた日にはまぁまぁそんな立派になったのねぇと涙が出そうになる←(笑) 新人公演で演じたのが紀城ゆりや君で、お姉ちゃんこと愛海ひかるさんも新人公演で2度和希そらの役を演じたなーと。姉妹で2人とも新公で和希そらの役を演じるのは面白いご縁ね。のりちゃんの順桂もどっしり響く落ち着いた演技だったな。本役の林旭も上級生たちに負けじと堂々たるお芝居だったしね。

王逸には私の中で株爆上がりな一禾あお君。ご存じ宙組の有愛きいちゃんの双子の妹。(雪組は宙組の姉妹が多いのよね水音志保さんと千早真央ちゃんとか)双子なんで顔は似てるんだけどそれぞれに男役・娘役のカラーがしっかり出て来た今日この頃。なみちゃん(姉)とは違う陽の明るいオーラを持ちながらも男役としての力強さも併せ持つ。王逸の血気盛んなキャラクターが一禾あおさんの持ち味にマッチしていた。新人公演はこれこそ長の期の長の貫禄と言わんばかりの春児だった。2番手さんの役に不足なし。少年期の役作りは朝美さんとは違う少年漫画のキャラっぽい所も良かったし、初主演の華世京君は一禾さんが2番手の役で頼もしかっただろうね。初主演の華世君と新公最後の一禾さんとは思えない掛け合いどっちも凄かったな。一禾君って何処からどう見ても表現が明快で見ていて気持ちいい。新公を経ての王逸はよりシャープに精悍な顔つきの男役のお芝居だった。これからが楽しみで仕方がない。

新人公演で王逸を演じたのが104期の蒼波黎也(あおはれいや)さん。初めて見る雪組の新公に「このイケメンは誰?」となった。宙組ファンが好きそうな顔ですよねって言われたけど顔が良い。175㎝シュッとしたイケメンは大好物なのだ!!背が高いから見た目から迫力があったし血気盛んな王逸に説得力があった。本公演でのセリフも今回はチェック出来た。顔もいい声もいい最高やん。これからが楽しみで仕方がない(2回目)

専科様に負けじと脇を固める上級生さん達が熱かった。

顔見てるだけできぃ~って憎くなる透真かずきさんの李蓮英に、運よく転がり込んだポストから登り詰めようとするが失敗する袁世凱の真那春人さん。本当にこのお二方は上手すぎるんだよ!!雪組芝居をがっつり牽引しているお二人にはいつだって安心感しかない。

久城あすさんの岡圭介。ストーリーテラー的な役割で爽やかな見た目は作品の清涼剤。ジャーナリスト仲間のトーマス・バートン壮海はるまさんとの掛け合いも好き(壮海さん背が高いし華やかだから外国人にぴったり)壮海さん新公では伊藤博文。本公演の歴史の教科書から抜けて出て来たリアル伊藤博文ではなく、普通に長身のイケオジが出て来てちょっと面白かった。あの伊藤博文のビジュアルこそ汝鳥さんならでは。

素朴なセリフ回しはほっこりするが玲玲への愛が深いタンストン。諏訪さきさんのスチール写真見てファンの人「贔屓のスチール写真が変なメガネ…」ってならなかったでしょうか。命落とす最後まで芯を持つあの役、この変なメガネすら愛しい役どころだった。スチール写真で度肝を抜かれたのは安徳海の天月翼さん。これまた絶妙ないい芝居するんだよなぁ。黒牡丹の眞ノ宮るいさんは眞ノ宮さんの御尊顔だからこそ女子の心を鷲掴み。あのイケメンなら西太后じゃなくても私だってご所望したいです。黒牡丹以外にも出てたのを4回目で気づきましたが第二幕にも出てるよ。あの龍の時に出てくるんだーとか軍服も似合うなぁとか顔がキレイだよねぇとか。

上級生が2役3役と複数こなす中、叶ゆうり様の光諸帝の弱そうなお父ちゃん(醇親王)からのー、軍服オールバックのイケメンこと柴五郎は最高でしかなかった。「柴五郎」さんではなく「柴・五郎」さん。日清戦争、軍服でセンターに立ち指揮を執る場面は必見。フィナーレの乱れた前髪から放つ色気からの~軍服オールバックは今日もありがとうございますと拝んでしまった。雪組のセクシー番長は優勝でしかなかった。(好)ハオ!!!!

娘役さんの役が殆どない、大多数が女官だったり民衆女だったりで娘役さんのファンはフラストレーションが溜まっちゃうかも。でもその中でもできるだけ退団者に餞を持たせようとしている努力も見えた。デュエットダンスの影ソロに羽織夕夏さんにエトワールは千風カレンさん。花束ゆめちゃんも歌ウマ娘役さんだったから退団は寂しいね。イケメンたちにキャッキャする女官のお姉さま達の小芝居だったり、中華風ドレスの圧巻の娘役ナンバーなど見どころはいっぱいあるんだけどねぇ私的に。阿片屈のダンスとか好き。私ぶっちゃけ希良々うみちゃんの顔見てるだけで今日もオッケー。

本役は珍妃(光諸帝の3人の妃。正妃ではないが本命)新公ヒロインの音彩唯ちゃんはロケットのセンターでここは見て!!めちゃくちゃ可愛いのお衣装もダンスも「ハオ!!」って掛け声も。動く可愛いお人形さん。私も心の中でハオ!!って言ってるよ。本当に可愛くて仕方ない私だって珍妃が好きだわ。



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