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世代にはたまらない現代のラブ・ストーリー『パスト ライブス/再会』
第96回アカデミー賞に向けた賞レースで、インディペンデント映画として最後までトップランナーだった作品が『パスト ライブス/再会』です。
毎年1月に開催されるサンダンス映画祭で絶賛されると、その勢いのまま6月に公開され、ほとんど息切れしないまま、アカデミー賞でも2部門でノミネートされました。
作品賞にノミネートされた作品で、個人的一位は『オッペンハイマー』ではなくこの作品でした。
数々の賞を受賞
前回(第95回)のアカデミー賞は同じくA24配給の『エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス』が席巻したため、それに比べると見劣りしてしまいますが、それはエブエブが例外なのであって、『パスト ライブス/再会』もたくさんの賞を受賞しています。
▼作品賞(11)
アメリカン・フィルム・インスティチュート賞(トップ10)、インディペンデント・スピリット賞、全米批評家協会賞、グレーター・ウェスタン・ニューヨーク映画批評家協会賞、ユタ映画批評家協会賞、シアトル映画批評家協会賞、ダブリン映画批評家協会賞、フェニックス批評家協会賞、女性映画批評家協会賞、オンライン女性批評家協会賞、ゴッサム賞
▼監督賞(3)
インディペンデント・スピリット賞、ユタ映画批評家協会賞、ダブリン映画批評家協会賞
▼主演女優賞(1)
ハワイ映画批評家協会賞
▼脚本賞(12)
ワシントンDCエリア映画批評家協会賞、フロリダ映画批評家協会賞、グレーターウェスタンニューヨーク映画批評家協会賞、ユタ映画批評家協会賞、サンフランシスコ・ベイエリア映画批評家協会賞、オースティン映画批評家協会賞、ハワイ映画批評家協会賞、カンザスシティ映画批評家協会賞ミネソタ映画批評家協会賞、UK映画批評家協会賞、ブラック映画批評家協会賞オンライン女性映画批評家協会賞
▼外国語映画賞(1)
Critics’ Circle Film Awards
これを見ると作品賞と脚本賞の受賞が目立つのがわかります。
作品自体が評価されている上、本も面白いなんてこれは良い映画に決まってます。
セリーヌ・ソン監督の自伝的映画
本作が初監督作(!)となるセリーヌ・ソン監督は韓国生まれ。
12歳でカナダへ移住するとコロンビア大学で演劇の修士を取得。
劇作家として活躍をしていましたが、映画にその舞台を移したのは新型コロナウイルスの蔓延がきっかけだったそう。
主人公のノラもアーティストの両親がカナダへ移住することをきっかけに韓国を離れ、その後ニューヨークへ。
劇作家としてのキャリアを積んでいきます。
まさに監督まんまのキャラクターで、スコセッシ監督の「最も個人的なことが、最も創造的である」という言葉を映像化したような作品です。
「あの頃」を思い出す
ノラの同級生で、テストでトップを争ったヘソンは映画監督をしているノラの父のFacebookページに「ノラを探している」と書き込み、それをきっかけにふたりはインターネットを介してやり取りをするようになります。
時間を合わせてSkype(なぜスタンダードにならなかったんでしょうか)をしたり、ドンピシャ世代は誰もが経験したことにノスタルジーを感じます。
今はLINEやInstagramなどで、幼い頃から繋がっているのが当たり前の世の中だと思いますが、そんなものは昔はなかったので、Facebookが世界的に普及したときにこういう「再会」をしていたんですよね。
もうFacebookなんか誰も使ってないくらいの状態になりつつありますが、再会まではせずともex-を探すくらいのことは誰もがしていたことではないでしょうか。
その相手が初恋のひとでなくても、「あの頃」の友だちはどうしているのか、楽しく暮らしているのかそんなふうに物思いにふけるような方にも是非観て欲しい佳作です。
なお、主人公のルーツが韓国というだけで韓国っぽさは全くない作品なので、あくまで韓国語が出てくるアメリカ映画と考えたほうがギャップは小さいと思います。
本日のドレス:リリー・グラッドストーン
#Oscar nominee Lily Gladstone is on the Academy Awards red carpet pic.twitter.com/7Fr7lHLgVS
— The Hollywood Reporter (@THR) March 10, 2024
主演女優賞まであと一歩だったリリー・グラッドストーン。
どの授賞式でも自身のルーツをうまく取り入れたスタイルでとてもステキでした。こちらはグッチ。(★★★)
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