アカデミー賞撮影賞候補作一番のおすすめ!/Netflix『伯爵』
チリ前大統領セバスティアン・ピニェラ氏が昨日、ヘリコプターの墜落事故で亡くなりました。
記事にもありますが、結構な親日派で東日本大震災後に宮城県南三陸町を訪れただけでなく、震災で破壊されたモアイ像の代わりとして、イースター島の火山岩で作った新しい像の寄付なんかもしています。
このピニェラ氏は、1990年の民政移管後、軍事独裁政権の流れを組む政治家としてはじめてチリの大統領に就任しました。2010年のことです。
その軍事独裁政権を掌握していたのが、Netflix『伯爵』の主人公であるアウグスト・ピノチェトでした。
20世紀は独裁者がはびこっていた!?
世界史を世界史Aでごまかし、受験でも使用することのなかった自分としては、独裁者といえばヒトラー/スターリン/毛沢東というイメージが強く、チリのアウグスト・ピノチェトについては知りませんでした。
でもちょろっと調べただけで20世紀って独裁者祭りというか、聞けばわかる権力者がかなりいるんですよね…。
ベニート・ムッソリーニ(イタリア)
ポル・ポト(カンボジア)
ウラジーミル・レーニン(ロシア)
サッダーム・フセイン(イラク)
金日成(北朝鮮)
以下の書籍でいうと67人も…
いまの権力者たちももしかしたら21世紀の独裁者と呼ばれる日が来てしまうのかもしれません。(というか既に明らかにそうとしか思えないひとが…)
義務感に駆られて観たらめちゃくちゃ面白かった『伯爵』
そんな独裁者アウグスト・ピノチェトを主人公とした『伯爵』ですが、もちろんフィクションでございます。
ベネチア映画祭での脚本賞受賞を機に、Netflixということもあり、観よう観ようと思っていたのですが(脚本賞受賞作品は漏れなく面白いので)、ぼやぼやしてるうちに全米撮影監督協会(ACE)賞候補に。
「おや!?」と思っていたら、アカデミー賞の撮影賞候補にまでなって慌てて観たという感じだったのですが、物語が進むにつれどんどん面白くなり、迎えるのは驚きの結末!
「いいもん観たわ…」とかなりの満足感を与えてくれる作品です。
ベネチアの脚本賞受賞やオスカーノミネートといった動機はあったものの、「チリ?興味ないわ…つうかまたドラキュラの話かよ…しかもモノクロか…」と正直食指が動かなかったですが、それを覆してくれる佳作です。
正直撮影賞の行方は『オッペンハイマー』で決まりだろうなとは思ってしまう(他の作品もかなり協力)のですが、チリの候補作になっていたら国際映画賞の候補にはなっていたのでは?と思う作品なので、是非観ていただきたいです。
現在『ニモーナ』とともに推したいNetflix作品です。
本日の一曲
マイリー・サイラスもめっちゃ聴かされたけど、オリビア・ロドリゴのこの曲もめっちゃ聴かされた。
これも自立した(またはしようする)女性の歌。