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□□□とボードゲーム(2.6)〜W.H.Audenの『Numbers And Faces』は□□□詩

前回の記事はこちら。

先週は、なんとなく休んでしまいました。
まことに申し訳ない。
今回、ちょっとだけ頑張ります。
とある数学詩を私目線で□□□をベースに解釈していきます。

W.H.Audenさんと『Numbers And Faces』

今回取り上げる詩はW.H.Auden(ウィスタン・ヒュー・オーデン)さんの『Numbers And Faces』です。

この方、超有名な詩人です。
なにせ

二十世紀最大の詩人

の異名を持ちます。
……といっても、この謳い文句を持つ方は数名いるんですが、間違いなくそのひとりに入ります。

1968年のノーベル文学賞を受賞したのは、川端康成さんですが、その年の最終候補のひとりとしてAudenさんもあげられていました

さて、Audenさんの詩『Numbers And Faces』ですが、以下の記事

で取り上げたJoAnne Growneyさん。
彼女の編纂した数学詩集は何冊かありますが、そのなかの一冊のタイトルが『Numbers And Faces』――つまるところ、Audenさんの詩を表題としています。
2001年にHumanistic Mathematics Networkから出版されましたが、入手は難しいでしょう。
しかし、なんとJoAnneさんがPDFをアップしていただいております。


『Numbers And Faces』は□□□詩でいいと思います。

『Numbers And Faces』は4連を4行で構成された、比較的短い詩です。
まるまる引用しませんが、いくつかのサイト(例えば、以下のリンク)で引用されているので御覧ください。

さて『Numbers And Faces』ですが、このタイトルを日本でどう訳しましょうか。
単純に「数と顔」だと、なんというか野暮。
なんせ数学詩ですから、faceは数学方面に寄せたい気分です。

で、いろいろ考えてみるんですが、ふと別角度の見方ができるかも、と気づきました。


この詩、
ボードゲームで解釈できまっせ

いやいやいや。
まさかのマガジンタイトル「□□□とボードゲーム」の伏線回収かい、そんな都合いいことあるかいな、っちゅう話ですよ。

さにあらず、なんです。
『Numbers And Faces』を対の表現としてみると、あるものにつながります。
トランプ――数札と絵札

「絵札」を英語にすると「picture card」ですが、ほかにもいくつかあります。
そのひとつが、アメリカだと「face card」です。
ちなみに、イギリスでも使う表現に「court card(宮廷札)」があります。

『Numbers And Fases』にも、court cardを踏まえて解釈するとよさげな一文があります。

【引用:1行目】
The Kingdom of Number is all boundaries

「The Kingdom of Number」を直訳すると「数の王国」ですが、「トランプゲーム」特にポーカーやブラックジャック、バカラなどのギャンブル系ゲームの比喩としてみます。
そうすると「boundaries」――境界は、「Hit And Stay」や「Raise And Hold」などの分岐としてみれば、なるほどギャンブルはすべてのるかそるかの判断だらけです。

faceの単語は、四連目にもでてきます。

【引用:13、14行目】
True, between faces almost any number
Might come in handy, and One is always real;

このfaceは「カードの表」とみるとよさげです。
「between faces」は、いわゆる麻雀用語でいうところのカンチャン――かと。

ボードゲームはあらそいごとなので、戦争にも連想しやすい傾向にあります。
「The Kingdom of Number」なんて、大英帝国のイメージともかさなりそうですが。

たとえば6行目です。

【引用:6行目】
Believe all tales are thirteen chapters long,

「thirteen chapters」……これ、なにか実在した書物のことでは、と勘ぐりたくなります。
検索などしつつさぐりをいれみると、いい候補が見つかりました。

『孫子』――英語訳「The Art of War」

『孫子』は十三章で構成されているんですね、へえへえへえ。
勝負事のあれこれは、全部『孫子』で語れまっせ、です。

※補足:
Facesを絵札と関連付けましたが、その一方Numbersを数札……とするのは本当はあまりよろしくないかも。
数札は、pip card、spot card、numeral cardなどと呼んだりしますが、number cardとは呼ばないようです。
あしからず。


締め

ということで、Audenさんの詩『Numbers And Faces』は、数学詩どころか実はボドゲ詩でした。
無理矢理ですがそういうことです。

次回もなにかの数学詩をとりあげようかと思います。

一方今後の話ですが、再来月にはADVENTAR(アドベントカレンダー)が始まるはずですので、そちらの準備もぼちぼち。

では。

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