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冨山和彦さんのコーポレート·トランスフォーメーション一章

冨山和彦さんのコーポレート·トランスフォーメーションにどはまりしたのが8月の夏休み前なので読み終わるまでに、だいぶ経ちました。

今回から、自分なりにまとめてみます。まずは第一章の過去からの類推から。

実はここの話の前半は、YouTubeに講演された内容とかぶって要るので両方を何度も確認すると理解が深まります。どちらかと言うと本が理論よりの理論、普遍的な話、YouTubeが実例の具体個別的な話。

2020年グロービス経営大学院大学での講演会

勿論、書籍側のクライマックスでもあるp47からの日本的経営モデルは無いので、書籍も是非とも読んでみて下さい。三章で新憲法草案が有ったので見比べると深いです。

また、五章の中堅·中小企業バージョンとも対比をすると、これだけでも日本企業を網羅しています。人事や組織の話単独は良くみますが、ここまで横断的に書いてあるのは珍しいです。伊丹先生と加護野先生の経営学の本はありますが厚い一冊なのでコンパクトにはまとまっていないです。

また、BCGマトリックスとまで言われたPPM の「負け犬」と日本企業の撤退の話は両方を見ればこその勉強です。理論(本)と実際の経験談(YouTube)の融合ですよね、ここでリアルな出来事としてノキアを例に見ていきます。

ノキアのスマホ撤退劇

冨山和彦さんの中でも誰しもが当時から撤退だと思っていたと感慨深げに話されている、スマートフォンについての話は、フィンランドのアイデンティティーでもプライドでも有ったので、日本企業も同様だったはずです。

リスト·シラスマの「NOKIA 復活の軌跡」と平行して読むと更に分かりやすくなります。

ちなみに買収交渉過程の下り坂でもノキアは世界第二位の携帯電話メーカーで8000万台を四半期に製造していました。

アンドロイドOSに圧されるなかで、ノキアはマイクロソフトOSと組んで対抗します。

かつては一世を風靡したノキアは破産の噂までされるほど追い詰められ、提携してルミアを開発出来ました。

でも少し良くてもジリ貧ですので抜本的な話をマイクロソフトと行います。

マイクロソフトとしてもパルマーへの印籠を渡す手間賃としてスマホ事業を行っていて、パルマーは買収に向けてエクセル片手にスプレッドシートで計算、計算。

撤退の話は当事者の話は奥が深いです。この言葉が重いです。

「自分たちの監督下でそうなってしまったことに、私たち全員が罪悪感を抱いていた。誰もが無敵だと信じていた最愛の組織の死を目撃するのも、とてつもなく悲しいことだった。」p304

ノキアにとって当時の売上高の9割を携帯電話事業が占めるなかで如何にマイクロソフトに買収して貰うのか?

マイクロソフトには他にも台湾のHTC など候補が有ることをノキアは知っていました。その時の他社買収コストと対価についても計算で求めたそうです。

仮に台湾のHTCがお相手になったときのノキアの時価総額がどのくらいになるのか下限値を上回るオファーであれば理論的に受け入れに値するp262

その値が16_55億ユーロ、マイクロソフトからの提案はこの下限以下だったので何が見落としや考慮に入って居ないのかを評価額として算出したそうです。

シェアはドンドン堕ちて行くので早めに売らないと更に値が付かない。レイオフ、コスト削減、戦略的な事業そのものからの撤退が現実味を帯びてくる。

遂に世界のスマホシェアで3%に急減。

こんなギリギリの中で最終交渉の結果54.4億ユーロの現金で売却した。

手元の資料だと2013年9月のこと、ノキアの携帯事業が37.9億ユーロ、特許ライセンスが16.5億ユーロになっています。

ちなみにIPライセンスが十億ユーロ以上の想定だったようです。実際、三万件の特許でのライセンス収入は年五億ユーロなので妥当なんてしようね。

アプリストアもノキアの発明だとしています。

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関連する本を読みながら、とかしていると時間がかかる、かかる。

冨山和彦さんの見立てをみると

通信キャリアの方を向く商売をしていたのが、アップルのiPhone はOSからエコシステムを作って顧客に向けて商売を始めた。という比喩は分かりやすく、まさにパラダイムシフトでした。

ノキアのスマホも市場で最高評価のカメラを搭載し、手袋はめてスワイプ出来るタツチスクリーン(当時は過渡期で静電容量式とは別の方式も有りました。)

当時の知財買収ブーム

この分野の特許は一件1000万円と言われた時代が有り、ロックスターと言う今ではギャグのような共同購入会社も有りました。

グーグルがアンドロイドを買ったのが2005年のこと、縁もゆかりも無いので敗れた事業会社からの特許ライセンス交渉は激しかったようです。

2011年には更にモトローラを買って特許ポートフォリオを強化しました。

アップルも同年、マイクロソフト、ソニー等6社とノーテルの特許ポートフォリオ6000件を四十五億ドルで購入しています。

2012年にはAOLのインターネット関連特許925件を1056万ドルで購入して内600件をFacebookに転売します。

2013年にはアップル、グーグルでコダックの千百件の特許を527万ドルというのも有りました。

並べ立てるとバブルだったのが分かります。ライセンス収入だけで利益の大半を稼ぎ出す企業も有りました。本業が儲からないだけですが、持て囃してました。

冨山和彦さんの本を読みながら知財の話を考えて行くと、そもそも知財って何の役に立っているのか、根本的な所で自問自答してしまった。事後処理には役にたちそうなのは分かったので後ろ向きではありますが知財の出番が来ないようにしていきたいと思います。

ついTwitterに感想を書いたら冨山和彦さん本人からのコメントを頂き恐縮しきりに。

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