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初めてのフルマラソン

三十五キロ地点の給水所で、僕はコップの水を顔に叩きかけた。
冷たい水が、熱を持った身体を少しだけ鎮めてくれる。
しかし、足は鉛のように重く、心臓は今にも飛び出しそうだ。
時計を見ると、すでに四時間を超えていた。

一か月前、右足首を痛めて以来、この日までをどれだけ待ち焦がれたことか。完走は、僕にとっての小さな勝利のはずだった。だが、現実は甘くない。二十五キロ過ぎから、右ふくらはぎが痙攣し始め、僕は歩くことしかできなくなった。まるで、砂漠を彷徨う旅人のように。

スタート直前の高揚感は、どこへ消え去ってしまったのだろう。
最初の十キロは、ペース配分を意識しながら、周りのランナーたちと呼吸を合わせていた。しかし、十五キロを過ぎたあたりから、徐々に体力が奪われていくのがわかった。

ゴールテープを切ったとき、僕は虚脱感に襲われた。五時間目前。目標タイムからは程遠い。それでも、完走メダルを首にかけられたとき、わずかな達成感を感じたのも事実だ。

今回の経験から、僕は多くのことを学んだ。練習不足、水分補給の不足、そして、レース中の焦り。それらは、すべて僕の甘さの結果だった。

次のマラソンでは、今回の反省を活かして、もっとスマートに走り切りたい。完走メダルではなく、自己ベストを目指して。



                                                                                                edited by Gemini


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