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休職して気づいた本当に大切な事。
4ヶ月間の休職生活は、辛いことばかりではなかった。
休み始めた当初は気分も体調もどん底だったが、きちんと受診して、主治医の指示通りに服薬し、辛抱強く生活リズムを整えていく内に段々と良くなってきた。
そんな生活の中、妻と二人で食材の買い出しに行く機会が沢山あった。
今までは、殆どが子供達と一緒だったので、二人きりで行動する機会自体が少なかった。
結婚して子供を授かってからは、幸せな反面、夫婦の心の距離は離れていっていたと思う。
だから休職中に二人きりで買い物する時間は、とても新鮮なものだった。
初めの頃はなんだか落ち着かず、なんとか話題を見つけては場をつないでいた。
落ち着かない理由は二つあった。
一つは前述の通り、二人になる事自体が久しぶりで気まずかった事。
もう一つは、休職している自分に対しての負い目であった。
妻も初めの頃は、病気の私にどう接していいのか、迷っていたと思う。
だが何度も一緒に行動するうちに、昔の関係に少しずつ、少しずつ戻っていった。
その日食べたいメニューを一緒に考えたり、子供たちの将来の話をしたり、好きなアーティストの話をしたり・・・何気ない時間が心地よかった。
好き同士で結婚して、子供が出来て、幸せな生活を送っていたつもりだったが、いつの間にか仕事中心の人生になっていた事に、その時はっきり気が付いた。
仕事に殺されてはいけない。
幸せな人生を送る為に、私たちは家庭を作ったはずだ。
精神を病んでまで自分を押し殺し、働き続けている人がいたら、ぜひ私は声をかけたい。
「自分の人生より大切なものはありません。
辛くてたまらないなら、自分だけを犠牲にせずそこから離れて下さい。
家族や友人、信頼できる人…誰でもいい、誰かに助けを求めて下さい。
充分に休み、ただただ生活のありがたみを感じながら、日々を過ごしてみて下さい。
そしていつか気力を取り戻した時、今までと一味違った自分が見つかるはずです。」
私は休職したことで、人生における視野を拡げる事が出来たと思っている。
そして、妻や息子たちと過ごす中、沢山のやさしさにふれたことで、一番大切なものが何だったのか、本当の意味で理解する事が出来たと確信している。