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33-もう一つの、驚愕の事実

【前回のお話】

(728字・この記事を読む所要時間:約2分 ※1分あたり400字で計算)
 
 「ASD、ADHD傾向あり」
 
 心理発達相談室の先生の口からそう伝えられた時、私は心が軽くなったような、胸のつかえが下りたような……そんな一種の安堵感を覚えた。
 
 もちろん診断結果が分かったところで、今すぐ全ての辛さから楽になる、なんてことはない。
 むしろこれからがスタートで、解決しなければならない課題は、依然として山ほど存在していた。
 
 だが、それが具体的にどういった問題で、どう着手すべきかが明確になったのだ。
 得体の知れない、モヤモヤとした「何か」と今まで戦ってきたのが、これからはその正体がくっきりと見える。
 
 
 手強い敵だとしても、姿をはっきりさせれば意外と怖くなくなるもの。
 
 加えて攻略法さえ把握出来れば、もう勝ったも同然だ。
 
 
 「ーーですが」
 ぼーっと考え事をしていると、再び先生が口を開いた。
 
 「ズバリASD、ADHDだと、そのように言い切れないのです。なぜならーー」
 話しつつ、先生は知能検査の結果報告書を差し出した。
 
 「竹子さんの検査結果データは実に特殊な数値になっているからです。
 
  能力グラフをご覧ください。
  確かに発達障害傾向である『凸凹(得意・不得意にひどいバラつきがあること)』は観察されています。
  ですが、不得意分野はマイナスにもなる傍ら、得意分野はそれをカバーするかのように、平均をかなり上回っています。そしてーー」
 
 先生が結果報告書のページを1枚めくる。
 
 「総合知能指数がなんと130を超えています
  これは非常に高い数値で、恐らく『ギフテッド』に入るのではないかと……」
 
 「ギフテッド……?」
 
 「はい。生まれつき高い才能を授かったということで、英語で贈り物を意味する『Gifted』で『ギフテッド』です
  つまり、竹子さんーー」
 
 
 先生は一息ついて、私にこう告げた。
 
 「あなたは、俗に言う『天才』というものです」
 
(つづく)

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