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#25 竹子さん、人生初の「無職&居候」生活!

(1481字・この記事を読む所要時間:約3分 ※1分あたり400字で計算)

 本来は9月末には無事飛行機に乗り、今頃中国のある大都市で新生活を始めているはずだった。

 だが、不幸にも中国側のコロナ対策に追い付かず、搭乗資格に不備が発生。
 前もってしっかり調べなかった自分も悪いのだが、出発を目の前に「あなたは搭乗出来ません」と航空会社のスタッフにズバッと言い渡されてしまった。


 アパートは引き払っていた。
 その前に、住民票でさえ既に日本から抜いており、もう「海外」扱いとなっていた。

 そんな中、私は両手にスーツケース、背中にドデカリュック。

 ただの紙屑と化したEチケットのプリントをシワシワになるまで握りしめ、呆然と空港の天井を眺めていた。


 「誠に残念ですが……」とスタッフに申し訳なさそうに話しかけられ、慌てて並んでいる列から外れた。

 1人分のスペースが詰められる。

 「可哀そうに」と他の乗客方々から投げられる視線が痛かった。


 取り敢えず、現地で私を迎え入れようとしている方々に急いで連絡を入れた。

 「送信」ボタンを押すやいなや、間髪を入れずに返信が携帯電話に流れ込んでくる。
 通知が止まらねぇ。

 でもいちいち対応する暇なんてなかった。
 急いでチケットの返金手続きをしなければならなかったのだ。

 見送りに来た妹が隣で心配そうに覗いてくる(この時点までは、事態を飲み込むのに精いっぱいで彼女の存在を忘れていた)。
 私があちこちに電話している傍ら、妹も必死にリサーチをしながら時折「こうしてみたら」と提案を出してくれたが、それを消化する余裕はもう無かった。


 まあ、結局どんなにあれこれ思索を巡らせたところで、搭乗資格が下りるまで私は絶対に飛べないのだ。
 必要な資料を揃えてから、再出発を試みるしかない。
 
 これが、現実。
 今ここであがいた所で、どうしようもあるまい。


 ーー次の瞬間、気付いたら私は東京行きの電車の中にいた。
 妹も一緒だ。

 まだ頭は朦朧としているが:
「大丈夫、焦らずゆっくりおいで」と中国側の会社担当者に慰められた
搭乗資格を得る為には、中国側の会社の協力が必要なので、それまで連絡待ち
キャンセルしてしまうと返金は出来ないが、出発日時の変更は可能ですよと航空会社に言われた
・ジャージャー麺を1杯食べた
・再出発までの期間は、妹の家に居候
温泉入りたい、ファミレス行きたい
・貯金はまだあるので、しばらくは無収入でもいけそう
という状況は読めた。

 「見送りに行ったのに、逆にあなたを家に持ち帰っているんですけど」と苦笑いする妹。

 ほんとだよ。


 生きていると、こんなこともあるんだねぇ。


 かくして、竹子さんの人生初・「無職&居候生活」が始まったのである。

 仕事は無し。
 収入も無し。
 早起き早寝する必要も無し。

 妹夫婦の家に転がり込み、中国側の会社が連絡をくれるまで、ひたすら予定の無い日々を持て余して過ごす。

 自由気ままである一方、「いつになったら出発出来るんだろう」という足が地に着かない気持ち悪さ。
 身内とは言え、迷惑をかけていることに変わりはないという申し訳なさ。


 とは言え、長い目で見たら、これも人生における大事な一つの経験なのではないか。
 そう割り切る。

 ええい、こうなったら、とことん楽しむぞ。

 ずっと行きたかったカフェに行くぞ。
 ずっと食べたかった高いお菓子食うぞ。
 週5で外食してやるぞ。

 貯金が一定額を下回らない限り、たっぷり遊んでやるぞ。

 せっかくだから、「無職&居候生活」の日々をツイッターで記録して、ログを取るぞ。
 そしてそれらをモーメントにまとめるぞ!
 ひょっとしたら、同じ状況にいる誰かの参考ともなれるかもしれない。

 はっはっはっ。


 さて、無事竹子さんは中国に再出発出来るのだろうか。

 つづく(?)。

📚人生の夏休み(?)

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