「違和感」をから面白さを考えてみる(後編)
全P連がお伝えする面白さを考える上での思考「違和感」について、後編です。前回は違和感ってどういうこと?現代だと違和感は捉えにくい環境だけどあると楽しくなりそう。という内容でお送りしました。まだご覧になっていない方はこちらから先にどうぞ。
今回はその違和感をどの様に使い分け、全P連が講座やイベントで使っているか?をご紹介します。
■違和感を3つのケースで使い分けてみる
日常、違和感は「感じる」ものとして使う事が多いと思います。ここではその違和感を「見る」「発想する」「仕掛ける」という3つの使い方に分けて説明します。今起こっていることの状態を意識することで自分がなぜ感情が動いているかや気になっていることの正体を知ることができます。もしあなたが今よりも世の中を面白がるアンテナを立ててみたいと思ったら、是非違和感が存在する状態を意識してみてください。繰り返し意識することでいつの間にか無意識に違和感を用いて日常に触れているようになるはずです。全P連で言えばPOP,販促なのでもちろんその考え方や発し方が上達します。では、それぞれのケースを全P連がどう発信しているかも合わせてご紹介します。
■違和感を「見る」
では3つのケースの一つ目、違和感を「見る」ことです。これは至ってシンプルで、違和感を感じるというイメージに一番近いのでわかりやすいと思います。一人でも他の人と一緒でもできます。そして、この見るはさらに3つのアプローチの仕方があります。
a:何となく気に留まったものを見る
いつもと違った風景、想像と違ったこと、突然目に入ったもの。それが何ものかを意識してみましょう。普段なら通り過ぎてしまう然もないものにも興味を持つことが面白い視点を持つ第一歩です。
b:解像度を上げて見る
日常や今ある状況を普段よりも解像度を上げて見てみましょう。例えば普段意識していないで歩いている道にはどんな形の石がありますか?どんな花が咲いていますか?その変化を知るだけでも新しい発見があったりします。
c:探して見る
解像度を上げるに似ていますが、こちらはもっと能動的に意図をもって見ます。いうなれば探す、ですね。テーマを持って見て周ることで、いつもと違う行動にも繋がったりします。「今日は鈴木さんの家がどの位あるか捜索してみる」「街の中にXという文字やオブジェを見つけながら歩く」そんな風なゲーム的な要素で出来たりもします。この視点は探しながら普段通らない道を通ってみようと思ったり、立ち止まってみたりする行為が生まれ、それが違和感をキャッチする機会を増やしていきます。
この3つの「見る」のアプローチで誰から聞いたでもない自分だけの情報を今までよりも多く得ることができます。その瞬間は何の役に立つかは判らないかも知れませんが、無意識下にストックされた情報がふとした時に飛び出してきます。他人との会話の中でも然もない話題だと思ってもそれが思いがけないアイデアやヒントに繋がることがあります。面白さを生む種はこのストックをどれだけ持っておくかにあるのです。
全P連はこの「見る」のアプローチを講座やイベントでは主に過去我々が書いたPOPや街中で見つけた事例を紹介することで伝えています。そもそも全P連のちょっと偏屈な視点で捉えている世界はこうである、の暴露にもなってしまっているのですが。でも、その偏屈な視点も何か面白いものを生み出すエンターテインメントとして勝手にポジティブに考えて(逆にそれを期待して頂くことも多いので)全P連への興味の入り口として普段全P連のメンバーが気を取られている日常の違和感をinstagramに上げています。違和感から繋がる色々な面白さの意味を模索し続けて見ています。是非一度覗いてみてください。
「違和感を」〜全P連の100のよそ見 #iwakan_zenpren
https://www.instagram.com/iwakan_zenpren
■違和感で「発想する」
次は二つ目の違和感で「発想する」についてです。先ほどの「見る」は違和感をキャッチして、それを元に生かす基本的な使い方でした。そうすることで、何も意識しない時には働かない思考を動かすことで何かを繋げたり、生み出すのですが、逆に違和感を感じるものがなければつくってしまえば良い、という考え方です。これは一人でももちろんですが、チームやコミュニティと複数の中で用いると特に力を発揮します。
あるテーマを話したり、考えたりする上で普段使わない目線を使うなどしていつもと違ったアウトプットを生み出します。POPで言えば1つの商品に対してもより多くの内容が書けます。1つの良き結果を得る為には自分自身以外の脳(発想)を用いて100のアイデアを準備することも大切である、という事です。
この違和感を発想する行為は全P連が主に研修や講座でメインに扱う内容です。また別ポストで普段提供しているプログラムの内容については紹介しますが、ここでは1例を。自分自身と今のコミュニティの未来というテーマを発想する上で違和感を用いました。未来のポジティブなビジョンを考える上であえてネガティブ視点で考え、発言し合います。普通であればネガティブな発想は好ましくないですが、あえてそれを許可することで遠慮なく出し合うことができます。むしろネガティブをそう思っていなくてもそういう思考で出しましょう、という立て付けなので発言の真意は問われることはありません。陰と陽は表裏一体です。例えば「混んでて騒がしい街」→「賑やかで活気がある街」といった感じです。並べられたネガティブはそれを種にポジティブに書き換えてそれを強みとすることが可能。頑張って奇麗な言葉を考えるより圧倒的に沢山のアイデアが生まれます。
■違和感を「仕掛ける」
最後に三つ目の違和感は「仕掛ける」です。これは相手や第三者に伝える為のテクニックとなります。はじめにPOPを例に考えると解りやすいと思いますが、お店で商品を手に取るきっかけがPOPのキャッチコピーや説明を見たことで、それはまんまとPOPという仕掛けた罠にはまったことになります。罠にはまったというと聞こえが悪いですが、あくまで目的は相手が新しい出会いや発見など面白さと出会う為という事で考えてください。お店であれば提案に反応してもらう。人に何かを伝えてもいつも簡単に共感、理解してもらえるわけではありません。上手く相手に違和感をきっかけに情報を与えることで興味の入り口をつくることができます。この違和感を仕掛けるというソリューションは行動経済学、別名「ナッジ(nudge)」にも当てはまり近年話題になっています。行政の取り組みにも採用され、人がより良い行動に繋がる為にはどう促したら良いか?人が行う不合理な行動を活かした仕掛けが日常に仕込まれています。ビジネスやコミュニケーションの場でもそんな仕掛けを考え、置くことが出来るともっと世界は繋がり、伝わるのです。
全P連が違和感の仕掛け方を提供するのは、まさに結果に繋がるソリューションを一緒に考えること目的とする内容です。情報としての発信する場合は実際の店舗や世の中の事象の好事例を取り上げてブログ、SNS、イベント等で紹介します。研修、講座、コンサルタントではアイデアを生むところからそれが結果に繋がる為にどう仕掛けるかまでワークやディスカッションでの伴走をします。小売りなどのビジネスではまさにPOPや販促、商品セレクト、顧客満足に繋げる客数、売り上げを伸ばすアクションを考え、実施、場合によっては効果検証をするところまでお手伝いさせて頂きます。
■違和感は面白さを作動させるスイッチかも知れない
前後編にわたり違和感についてお話ししてきましたが、ただ感じるという感覚で一括りにできないなかなか面白さも使い勝手もありそうだと思って頂けましたでしょうか?スマートフォンを見る機会が多く、世の中からも欲しい情報が直結で手に入れられる世の中になったからこそこの感覚は一度立ち止まってじっくり考えることが必要です。正体が解らないものには不安を感じるかも知れません。ネットで手にいれた情報が必ずしもそれを解決するとは限りません。違和感を感じて(あるいは感じさせて)遠回りすることが実は最短の近道になることもあります。ニュートンがたまたま目に入ったリンゴが落ちる場面から万有引力を発見したことは有名です。その様な心の動きや閃きの”笑えるだけではない面白さ”で、それを作動させる作用が違和感にはあると思っています。ふとした時に違和感の存在を思い出して是非何かに引っかかる時間を作り出してみて下さい。