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ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督『ベロニカ・フォスのあこがれ』忘れ去られた女優のすべて


<作品情報>

実在した女優シビレ・シュミッツをモデルに、人々に忘れられた女優ベロニカ・フォスの悲惨な後半生を描く。82年ベルリン映画祭でグランプリを受賞。製作はトーマス・シューリー。監督は82年6月に麻薬中毒のために死亡したライナー・ヴェルナー・ファスビンダーで、この作品は「マリア・ブラウンの結婚」(78)、「ローラ」(81、日本未公開)と並んで戦後ドイツ史三部作と称していた。脚本はペーター・メルテスハイマーとペア・フレーリッヒ、撮影はザヴィエル・シュワルツェンベルガー、音楽はペール・ラーベンが担当。出演はローゼル・ツェッヒ、ヒルマール・ターテ、コーネリア・フロベス、アンネマリー・デューリンガーなど。リアルト・フィルム、トリオ・フィルム、マラン・フィルムが製作に協力している。

1982年製作/115分/西ドイツ
原題:Die Sehnsucht der Veronika Voss
配給:大映インターナショナル
劇場公開日:1983年7月30日

<作品評価>

70点(100点満点)
オススメ度 ★★☆☆☆

<短評>

上村
ファスビンダー作品はこれが初めてです。故にちょっとついていけないところもありましたが、白黒の画面が美しく、独特な演出もよかったです。
戦前に大女優だったベロニカ・フォス、彼女の辿る数奇な運命をたまたま会った記者の視点で描いています。
『サンセット大通り』を引き合いに出す方が多いようですが、まさにドイツ版『サンセット大通り』。過去の栄光にしがみつく女優を危なっかしく描いています。
ナチスドイツと懇意であった故に世間からの扱いも自分自身もおかしくなってしまいます。戦争が残した罪悪を一人の女性を通して描いていると言えます。
面白いかと言われるとそうではないけど、ファスビンダー独特の手法で見せていく演出はなかなかよかったです。

吉原
ナチス時代に一世を風靡した女優の末路を描いた作品。観ている間は全く気づかなかったけど、ナチスの末路を女優に照らし合わせて描いてるってことなのか。これから観る人は、ナチスに依存した人間を踏まえてみるとより分かりやすいと思います。
まぁ何に関しても依存してしまうと目の前のことに盲信的になってしまうは共通のことなのかなって思いました。視野が広くなってしまうっていうか。
初のファスビンダー作品で、多少の難しさは感じたけど、撮影の方法とか照明の使い方とか案外好きな点も多かったから他の作品も観てみたいと思いました。

<おわりに>

 ナチスに迎合し、戦後忘れられたベロニカ、彼女の波乱の生涯をアーティスティックに描いています。人を選ぶ映画ではないでしょうか。

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