ジョゼ・パジーリャ監督『エリート・スクワッド』ブラジルの社会派アクション
<作品情報>
<作品評価>
50点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
上村
「これが金熊賞?」という鑑賞前の違和感が全く解消されませんが、悪い映画だったからではありません。ベルリン映画祭は社会性のある、または実験的な映画を最高賞にするイメージだったので、本作のド直球なエンタメ映画を選ぶというのが意外だったからです。
普通に面白い。警察のエリート部隊BOPEの司令官を語り手とし、白人で体力のあるネト、アフリカ系で賢いマチアスを描いていきます。
時系列操作がしっかりと効果を上げています。二人はどうしてこのような行動をしたのか、気になる始まり方でした。
動き回るカメラ、緩急のある演出、迫力あるアクションと社会派エンタメとして一級の作品です。
書いていて思いましたが、パッケージングが悪いだけだなコレ。『シティ・オブ・ゴッド』『バクラウ』など南米から社会的格差を描く作品が多く、本作もその例に漏れていません。警察の腐敗、人種差別、階級社会という社会問題を確かな演出で描いていると思います。
真っ当な社会派映画。パッケージングに騙されず観てほしい作品です。
吉原
ブラジルのエリート警察部隊を題材にした社会派アクション映画というちょっと変わった設定ではあるけど、これと言って新しいものがあるわけでもなく、麻薬取引が横行するスラム街を舞台に、警察の葛藤を描いたよくある作品でした。金熊賞を受賞したのであればある程度、社会派作品として見られたのだろうけど、個人的にはエンタメの枠を越えることはありませんでした。これを社会派と言うのであればアクション映画の半分くらいは社会派にならないとも言えない。かと言ってこの内容で社会派に全振りすると、心の葛藤を描くだけの作品になってしまってもおかしくない。この手の内容の映画はその塩梅が非常に難しいと感じました。アクション映画が好きな人にはオススメしたい作品ではありますが、普段アクションを観ない人にはあまりお勧めできない映画ではないかと思います。
<おわりに>
良くも悪くも普通の社会派アクションという感じです。ブラジルの社会について知ることができる一作と言えるでしょう。
<私たちについて>
映画好き4人による「全部みる」プロジェクトは、映画の可能性を信じ、何かを達成したいという思いで集まったものです。詳しくは↓