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ウィリアム・ワイラー監督『友情ある説得』端正な宗教ドラマ



<作品情報>

ウィリアム・ワイラー初の色彩作品。ジェサミン・ウェストの原作から彼自身とワイラー、及び「欲望の谷」のハリー・クライナーが共同脚色し、ワイラーが製作・監督を担当する。撮影は「敵中突破せよ!」のエルスワース・フレデリックス、音楽は「テーヴル・ロックの決闘」のディミトリ・ティオムキン。出演者は、「西部の男」以来16年ぶりでワイラー作品に主演するゲイリー・クーパー始め、「アメリカの戦慄」のドロシー・マクガイア、ロバート・ミドルトン、久方ぶりの老傍役女優マージョリー・メイン、他にリチャード・アイアー、アンソニー・パーキンスなど。

1956年製作/0分/アメリカ
原題:Friendly Persuasion
配給:MGM
劇場公開日:1957年1月4日

https://eiga.com/movie/50294/

<作品評価>

70点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆

<短評>

おいしい水
敬虔なクェーカー教徒の家族は南北戦争の最中、教義に反して戦いに参加するか揺れていく。
奥さんが司祭って珍しいと思ったのですが、クェーカー教では人種や性別は全て平等という教えらしいです。しかし黒人を馬の世話係で使ってるじゃんと思ったけど途中で南部から逃げた奴隷だということが分かります。
奴隷制度は不当という主張はするものの殺生はできない、でも南軍は迫っている、さてどうするか。
ウィリアム・ワイラーらしい端正で上品な語り口でカラー作品ならではのダイナミズムもしっかりあります。
宗教的主題に共感できるかが肝ではあるが非常によくできた作品ではあります。

吉原
第10回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞したウィリアム・ワイラー監督の作品。南北戦争が激化する中で、信仰を貫くクエーカー教の一家を描いています。
暗い内容かと思いきや、家庭的な場面が多く、全体的には温かみのある内容で、映像も彩り豊かなので、TVドラマを観ているような気持ちになります。
特に驚いたのは、奥さんが司祭であること。通常のクリスチャンとは異なり、讃美歌を歌うことなく、音楽もない沈黙の中でただひたすら祈りを捧げるクエーカー教のシーンが非常に印象的でした。
信仰と家族、自分自身の決意との間で揺れる展開はよくある話ですが、息子が信仰を破って敵と戦う決意をしたとき、最初は受け入れられなかった母親が息子を抱きしめるシーンは非常に感動的でした。
普段なじみのない宗派についての映画で非常に興味深く、全体的に温かみのある作品なので、2時間半弱の長さもそれほど感じませんでした。広く知られている映画ではないかもしれませんが、良作だと思います。

<おわりに>

 ウィリアム・ワイラーの熟達した演出が光る作品です。クエーカー教について知ることができるという意味で一見の価値はあるのではないでしょうか。

<私たちについて>

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