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【第25回東京フィルメックス】スカンダル・コプティ監督『ハッピー・ホリデーズ』イスラエルの抱える闇



<作品情報>

イスラエルのハイファに住む、あるパレスチナ人家族の物語。作品は4つの章に分かれており、それぞれの章が家族内の別の人物を中心に展開し、それぞれが相互に絡み合う構成になっている。国家や社会や文化がどのように強制的な支配を及ぼし、その圧力がどのように個人の人生を変え、破壊するのかについての一連のヴァリエーションにもなっており、一つの家族(あるいは拡大家族)の置かれている状況や人間関係の考察を通じて、イスラエルにおけるパレスチナ人とイスラエル人の分断状況や、軍国主義、あるいは女性に対する家父長主義的な制約といった民族や国家やジェンダーをめぐる深い文化的・政治的な背景が露わにされていく。2009年にイスラエル人監督ヤロン・シャニとの共同監督作品「Ajami」でカンヌ映画祭のカメラドールのスペシャル・メンションを獲得したパレステチ人監督スカンダル・コプティの2作目の長編作品(単独監督作としては1作目)。本作はヴェネチア映画祭オリゾンティ部門で上映され、同部門で最優秀脚本賞を受賞した。

https://filmex.jp/program/fc/fc3.html

<作品評価>

40点(100点満点)
オススメ度 ★★☆☆☆

<短評>

おいしい水
イスラエルのヤバいところを詰め込んだような物語は興味深いものの、エピソードのぶつ切り感は否めず映画として上手いとは思えなかったです。
いくつかの章に分けて展開されており、物語を多角的に捉えることを目的としているのでしょう。それは分かるものの、この構成が効果的かというと微妙だと思います。かえって説明不足な部分が目立ち、「結局これってどういうこと?」と疑問に思う箇所が散見されました。
イスラエルの女性に対する厳しさというのはまざまざと思い知らされます。婚前交渉が一切認められないというのは驚きでした。こんなにも前時代的な価値観が残っているとは。
そうした興味深いエピソードはあるのに上手く処理できていないのが勿体ないです。撮影もあまり上手くなく、映画的な映像というより説明的な映像が多いのが気になります。
他のコンペ作に比べて著しく映画的魅力に乏しいですね。申し訳ないが数段劣る作品と言う外ないです。

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