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クリント・イーストウッド監督『ミリオンダラー・ベイビー』精一杯生きた生の証



<作品情報>

クリント・イーストウッド監督が、孤独な女性ボクサーと老トレーナーの深い絆を繊細かつ丁寧に描き、2005年・第77回アカデミー賞で作品賞、監督賞など主要4部門に輝いたヒューマンドラマ。

ロサンゼルスでボクシングジムを営むフランキーは指導者としても有能だったが、選手を大切にするあまり慎重になり過ぎ、功を急ぐ選手たちは次々と彼のもとを去っていった。そんな彼に、31歳の女性マギーが弟子入りを志願する。最初は彼女への指導を拒むフランキーだったが、貧しい生活を送りながらも必死に練習に励む彼女の熱意に触れ、引き受けることに。家族に恵まれず不遇な人生を歩んできたマギーと、不器用なあまり実の娘から絶縁されてしまったフランキー。それぞれ深い傷を抱える2人は、トレーニングを通して絆を深めていく。

イーストウッドが自らフランキー役を務め、マギー役のヒラリー・スワンクが「ボーイズ・ドント・クライ」に続いて2つ目となるオスカー像を手にし、さらに共演のモーガン・フリーマンも初のオスカーを受賞した。

2004年製作/133分/R15+/アメリカ
原題または英題:Million Dollar Baby
配給:ムービーアイ、松竹
劇場公開日:2005年5月28日

https://eiga.com/movie/1538/

<作品評価>

85点(100点満点)
オススメ度 ★★★★☆

<短評>

おいしい水
ボロボロ泣きました。人間の尊厳をめぐるとても端正なヒューマンドラマです。
ヒラリー・スワンクが2度目の主演女優賞とった作品でもありますがそれも納得の熱演!いや、もう名演って言ってもいいでしょう。というのも力が入った演技ではなくごくフラットに演じているのに情感たっぷりにみえるんですよね。最近仕事に恵まれてないようにみえますが(『ザ・ハント』で久々にみた)、やっぱりヒラリー・スワンクは素晴らしいと思います。
光と影の演出が実に巧みです。最初の方でイーストウッドとモーガン・フリーマンがマギーに最初に指導するときにどちらも顔が影でみせずに声をかけるんですが、終盤ロッカーのようなところで二人が話すシーンは逆に顔だけに光があたるように反転していたりと何気にとても上手いです。個人的な解釈ですが、それは希望と絶望のバランスを表していると捉えられないでしょうか。
マギーとフランキーの疑似親子のような絆に泣けますし、それと対応したようなモーガン・フリーマンとデンジャーのやりとりには笑いました。デンジャーはあれだ、バカな子ほどかわいいってやつだな。「母ちゃんがニガーでもバカにしちゃダメって言ってたんすよ!だから差別してないっす!」って本人に言っちゃうというアホさ…ここまでくるとかわいいですね。
そうだよ。あんたは十分生きたんだ。普通の人が見れないような景色を見たんだ。あんたは一生分精一杯生きたんだ。かっこいいよあんたは。

吉原
ボクシング映画だと思ってコロナの自粛期間中に観たら、あまりの胸糞さに驚愕した作品。
他のボクシング映画は敗北→挫折→特訓→勝利という展開が多いですが、やはりイーストウッドが撮ったら一筋縄ではいきませんね。
あまりにも苦しすぎるシーンもありましたが、エンタメの枠を超えて色々なことを考えさせられる作品だと思いました。

<おわりに>

 胸クソ映画として有名ですが、イーストウッドのパンチの効いたストーリーテリングにノックアウトされる傑作人間ドラマです。

<私たちについて>

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