クリント・イーストウッド監督『ミリオンダラー・ベイビー』精一杯生きた生の証
<作品情報>
<作品評価>
85点(100点満点)
オススメ度 ★★★★☆
<短評>
おいしい水
ボロボロ泣きました。人間の尊厳をめぐるとても端正なヒューマンドラマです。
ヒラリー・スワンクが2度目の主演女優賞とった作品でもありますがそれも納得の熱演!いや、もう名演って言ってもいいでしょう。というのも力が入った演技ではなくごくフラットに演じているのに情感たっぷりにみえるんですよね。最近仕事に恵まれてないようにみえますが(『ザ・ハント』で久々にみた)、やっぱりヒラリー・スワンクは素晴らしいと思います。
光と影の演出が実に巧みです。最初の方でイーストウッドとモーガン・フリーマンがマギーに最初に指導するときにどちらも顔が影でみせずに声をかけるんですが、終盤ロッカーのようなところで二人が話すシーンは逆に顔だけに光があたるように反転していたりと何気にとても上手いです。個人的な解釈ですが、それは希望と絶望のバランスを表していると捉えられないでしょうか。
マギーとフランキーの疑似親子のような絆に泣けますし、それと対応したようなモーガン・フリーマンとデンジャーのやりとりには笑いました。デンジャーはあれだ、バカな子ほどかわいいってやつだな。「母ちゃんがニガーでもバカにしちゃダメって言ってたんすよ!だから差別してないっす!」って本人に言っちゃうというアホさ…ここまでくるとかわいいですね。
そうだよ。あんたは十分生きたんだ。普通の人が見れないような景色を見たんだ。あんたは一生分精一杯生きたんだ。かっこいいよあんたは。
吉原
ボクシング映画だと思ってコロナの自粛期間中に観たら、あまりの胸糞さに驚愕した作品。
他のボクシング映画は敗北→挫折→特訓→勝利という展開が多いですが、やはりイーストウッドが撮ったら一筋縄ではいきませんね。
あまりにも苦しすぎるシーンもありましたが、エンタメの枠を超えて色々なことを考えさせられる作品だと思いました。
<おわりに>
胸クソ映画として有名ですが、イーストウッドのパンチの効いたストーリーテリングにノックアウトされる傑作人間ドラマです。
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