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家族の介護虐待はなぜおこる?元理学療法士が感じた原因の1つは仕返し。

高齢者への虐待が増えているらしい。

この記事では、家族による介護虐待の要因を、

  • 虐待を受けた人の認知的症状

  • 介護疲れや介護ストレス

  • 虐待した人の理解力不足

ってしてる。どの要因も半数ぐらい。

要は、徘徊とかご飯食べたかわからないとか、そういった認知症症状が悪化して、介護が大変になった。長期にわたる介護、ワンオペなどとにかく忙しくてしんどい。「なんでわからないんだよ!」みたいに、認知症の症状を受け入れられない、理解しようとしない。

これが虐待につながっているっていってるんだけど...。

確かに、どれも理解できる。ごもっともだ。

でもそれだけじゃないと思う。今回は理学療法士として働き、いろんな家族を目にした中でぼくが感じたことを、別の側面から話してみたい。


利用者の家に伺う時に注意する、家族のパワーバランス

高齢者の利用者さんの家でリハビリする、もしくはデイサービスとかでリハビリする。どちらにしても利用者さんのお家に伺う機会がある。

その時に注意深く見るのは、家族のだれが主導権をもっているか?どんな関係性か?ってところ。

もちろん理学療法士として、家の中の危ない所とかどんな動作が必要かとかはみるんだけど、家族の関係性を押さえてないと、失言したりトラブルになる恐れがある。

利用者は家族にどんなコミュニケーションをとっているか?家族から利用者へのコミュニケーションは?などなど、アンテナをビンビンに張り巡らす。

そうやって最低500の家族は見てきた。


良好な家族関係の家、なっかなかない

夫婦2人暮らしだとまだ時折みる。でも、二世帯だとまぁまずない。子どもと、嫁と、良好な関係を結べてるところはほんっとにない。片手で数えられる。

どうしてこんなに仲が悪いのか?

なんでこんなに仲悪いの?

大ざっぱに、介護を受ける高齢者が85歳、子どもや嫁が60歳ぐらいとすると、昭和15年生まれと、昭和40年生まれ。

昭和15年の夫婦の関係性っていったら、亭主関白。男は仕事!女は家!って感じ。そして子育ては体罰が当たり前。しつけと称した虐待が公認に行われていたような時代。嫁はというと、姑からの締め付けやいびりがバチバチあるような時代...。

いやいや。家族仲がいいほうが、無理じゃない??

そして仕返しが始まる

これまで、亭主関白でいばり散らしていた夫、殴られて育てられた子ども、長男だからとか女だからとか嫁に入ったんだからと、いろんな抑圧を強いてきた人が今、歳を取り、弱っている。

そんな背景があって、心優しく介護ができる人が、果たしてどれだけいるのだろうか?

ぼくは…無理だと思う。

虐待といえる程ではない。でも、家の中の雰囲気が、いやーなおもたい雰囲気で満ちているんよ。

デイのお迎えがきた時にそこに家族は居るけど誰も出てこない。
正月ここぞとデイに預けられ
部屋で一人でひっそりと菓子パンを食べ
嫌なことをさせるっていうやり返しの手段にリハビリを使う人だっている。

利用者のする子どもや嫁へのコミュニケーションを見て、「そりゃそうなるよ。よく殺されずに面倒見てくれてるよ。」と思うような家もある。

どうして優しくできないんだろうと悩んでいる介護者もいる。

こんな家で生活する高齢者の方々をリハビリしていて、この人は一体何に希望を抱き、生きていくんだろうか?リハビリしてどうなるっていうんだろう?と思わずにはいられなかった。

改めて、高齢者への虐待の要因とは?

高齢者への虐待の原因がぜんぶ仕返しなんて思ってない。そして、高齢者虐待に仕返しという側面があるのであれば、高齢者が悪いじゃんとも思ってない。

なぜならその高齢者も昔虐待されてただろうから。いろんな抑圧の中生きてきた。その中には戦争だって含まれる。連鎖しているんだと思う。

そして言えることは、高齢者の虐待、その要因は、多様で絡み合ってて、複雑だってことだ。

要因の1つに仕返しを上げたけど、他にもたっくさんある。記事に上がってるものだけじゃない。

介護者がブラック企業で働いてる。格差社会。時代での価値観や経済格差だってある。日々忙しい。年金をもらい介護保険で介護を受けている高齢者を介護する人は、自分の時どうなっているかわからない状況。

それらも、いろいろと絡み合った中で、高齢者の虐待って問題が表現として現れている。

とっても複雑な問題なんだ。

どうしたらいいの?ぼくの答え。

今起こっているこの問題をどうしたらいいのかは、正直わからない。介護サービスを拡充したり、介護者・高齢者の孤立を防いだりなど、できることはあると思う。ただ高齢者の虐待という問題の、根本的な解決ではないだろうなと感じている。

ただこれから次の世代に起こらないようにどうしたらいいか、大まかな道筋は1つ見えている。

一人ひとりが自分自身を、お互いを大事にし、いい関係性を築いていく。そして社会全体もその方向へ舵が切られていく。

それに尽きるのだと思う。

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