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成功企業のブランディング事例 Vol.6「マクドナルド」
成功企業のブランディング事例シリーズのVol.6へようこそ。
(Vol.5を見逃した方は、こちらからお読みください!)
本シリーズでは、様々な企業をピックアップし、その企業のブランディング手法や、それによって得られた効果についてご紹介します。
ニューヨークでサービスをローンチし、一年で約55,000ユーザーを獲得したZeBrandが、ブランディング初心者にもわかりやすい解説を目指します。グローバルで展開するブランディングサービスで提案している3つのステージに基づいて、体系的に企業を分析し紹介していきます。このシリーズを読みながら、ブランディング知識を蓄えていきましょう。
ブランディングに興味はあるものの、
・ブランディングが企業にどんなメリットをもたらすのか知りたい方
・ブランディングに関する知識を蓄積したい方
に役に立ちます。
ブランディングの概要に関しては、こちらの記事をご参照ください。
Define: ブランドの核となる方向性を整理し、定義する
・ブランドDNA
Design: ビジュアルアイデンティティをデザインする
・ブランドストラテジー
・ビジュアルアイデンティティ
Deliver: ブランドを世界中に届ける
・ブランドアセット
Refine: 世界や顧客の変化に合わせてブランドを見直す(Define, Design, Deliverを繰り返す)
・ブランドコーチセッション
・ブランドフィードバック
・ブランドスコア
Define、Design、Deliverのサイクルでブランディングを進めます
マクドナルドについて
マクドナルドは、2011年に過去最高益を記録したものの2015年には345億円の赤字まで落ち込み、当時のマスコミには「マクドナルドのビジネスモデルは賞味期限切れ」とまで揶揄されました。しかし、マクドナルドは「ビジネスリカバリープラン」を発表し、改革に乗り出し、2017年には過去最高益を更新したのです。現在も、コロナ禍でほとんどの外食産業が苦戦を強いられる中、日本マクドナルドは増収増益という驚異の業績を記録しました。
そんなマクドナルドのブランディングとその歴史を見ていくことで、マクドナルドにおけるブランディングの力を見ていこうと思います。
マクドナルドのブランディングのポイントは以下の2点です。
・ブランディングを軸にした経営戦略を立てられていること
・ブランディングを軸にした宣伝が行われていること
マクドナルドの理念
マクドナルドの理念を見てもらうと、単なる飲食店、ファストフード店のように美味しさを求めるだけではなく、お客様が笑顔になるように、「feel-good」な状態を生み出せるように意識しているということが読み取れると思います。マクドナルドは、グローバルに展開していく中で、独自の立ち位置を獲得し、我々の心に寄り添っているのです。
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マクドナルドの売り上げが回復した事例
マクドナルドのアイデンティティは「遊び心」
マクドナルドの業績を立て直した立役者には足立光氏がいます。彼は一橋大学を卒業し、P&Gジャパンのマーケティング部に入社後、経営コンサルティングファームの経歴を経てドイツでシュワルツコフヘンケルの社長に就任して業績回復を実現させ、2015年にマクドナルドマーケティング本部長に就任しました。低迷する大企業を次々と立て直した実績を持つ足立氏は、マクドナルドに就任し、数ヶ月間は社内外でインタビューを実施しました。その結果、「今のマクドナルドには『マクドナルドらしさがない』」と彼は考えました。
マクドナルドは「Fun Place to Go (行くと楽しい場所)」を理念にしています。それを踏まえて、足立氏は、マクドナルドの競合を他のハンバーガーチェーン店ではなく、東京ディズニーランドと捉えました。健康志向を打ち出した商品を出したり、印象に残るようなキャンペーンも無いマクドナルドは無難すぎると判断しました。
マクドナルドの元社長である原田氏は、「お客はいうこととやることが違うから、お客の話を聞いてはだめ」と発言していたとされています。当時、原田社長が本当にこの発言をしていたのかどうかはわかりませんが、実はこういう趣旨の発言は、多くのマーケティングの学者や専門家の方々がしています。
「ヘルシーなサラダが食べたい」
「ヘルシーじゃないからマクドナルドには行きません」
↓
お客様の声を反映させた商品を作る
↓
「サラダマック」を作ったが結果はいまいち
「アンケートを取ると必ずヘルシーなラップサンドやサラダが欲しいと要望があって商品化したが、売れたためしがない」とのことでした。むしろギガマックのようにお肉の量を増量させたハンバーガーの方が売れるのです。マクドナルドがファストフード専門店としての地位を確立しているのが分かる結果ですね。マクドナルドには「ヘルシー」という概念は当てはまらないのです。
そこで、アンケートに基づいた企画ではなく、本来のマクドナルドの「お客様の笑顔を引き出す=Fun Place to Go と思わせるような場所にする」といった理念に基づいて「絶対においしくない」チョコポテトの発売を手掛けました。テレビCMでは「絶対においしくない」というフレーズを強調し、目を引くことに成功しました。その他にも、グランドビッグマックやギガビックマック(いずれもレギュラー商品のビックマックの肉やパンを増やしたもの)、裏メニュー(レギュラー商品のトッピングを変えたメニュー)、怪盗ナゲッツ(「ゲッツ!」の決め言葉で有名なダンディ坂野さんを起用したナゲットのプレゼントキャンペーン)といったサービス展開でマクドナルドならではの商品企画を実行し、着々と売り上げを伸ばしていくことに成功しました。
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マクドナルドの想起させる力
みなさんが、マクドナルドを食べたくなるのはどんな時でしょうか。マクドナルドの強みは「最初に思い出すのはマック」となる場面が多い点なのです。
1971年にマクドナルド日本第一号店が出店された時、マクドナルドは「家族で食事をする場所」といったイメージを持たれていたそうです。しかし、現在のマクドナルドに家族で食事をする場所といったイメージを持っているでしょうか?マクドナルドの店舗展開により「マックドライブスルー」「朝マック」「マックカフェ」「夜マック」といった言葉を耳にすることもあるでしょう。現在では、車の中でサクッと食事を済ませたい時や朝食を食べたい時、外出の合間にちょっと一休みしたい時など、私たちはさまざまな場面でマクドナルドを想起しているのではないでしょうか。
「〇〇ならば△」という風に、一番に思い出される店になることが多いのがマクドナルドの特徴です。ハンバーガーを食べたいと思った時に想起されるだけには止まりません。近年では、ごはんバーガーを開発し、スーツを着た芸人の方が一人でマクドナルドで夕食を食べる様子のCMを放送することによって、「夕食を一人で食べる働き盛りのビジネスパーソン」をターゲットに「落ち着いた食事と空間」を提供していることを売り出しています。表面的なイメージを売り出すのではなく、明確に価値を伝えることで、さらなる想起の場面の創出を行っているとみることもできますね。
マクドナルドの広告戦略
みなさん、マクドナルドの広告戦略といって何を思い浮かべますか?
「Ba da ba ba ba I’m lovin’ It ♪」といった思わず口にしたくなるCMでしょうか。マクドナルドは、テレビだけでなくSNSアカウントでの広告もしっかりとされています。マクドナルドのSNS運用事例から、企業のSNS運用について考えてみましょう。
マクドナルドのSNSの主戦場
マクドナルドはTwitterの運用に力を入れています。Twitterはリアルタイムで更新することができ、「今行きたい」と思わせることができます。マクドナルドは、「見栄え」や「クオリティ」を重視する商品を売り出しているのではなく、みんなが笑顔になる場所の提供を目指しています。だからこそ、見栄えや写真の美しさを重視するInstagramのようなSNSよりもTwitterが向いているのだと言えるでしょう。
マクドナルド公式Twitter
日本マクドナルド公式Twitterは2010年から運用を開始し、今では540万人ものフォロワーを獲得しています。ユーザーに受けが良いポイントを押さえた遊び心のある投稿が多いです。また、驚くべきは企業アカウントでありながら、毎日3~4件も欠かすことなくツイートをしている点です。
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なぜマクドナルド公式Twitterは目を惹くのか
マクドナルド公式Twitterはさまざまな手法で顧客の心を掴んでいます。公式アカウントの投稿内容は主に3種類あります。1つ目が商品を宣伝するためのツイート、2つ目がフォロワー参加型のキャンペーンツイート、3つ目が取り止めのないツイートです。商品の宣伝のツイートでは、インパクトのある写真と共に、つい気になるようなキャッチコピーで宣伝を行っています。また、改行をたくさんすることで、ツイートが縦長になるため、「スマホ」上で目にとまりやすくなるような工夫もされています。また、商品の紹介だけでなく、フォロワー用のキャンペーンを行ったり、「夏っぽいこと、なんかしたい。」というだけの何気ないツイートも急に織り交ぜることで、フォロワーが離れないような工夫もしています。愛されるアカウントとして、どんどん成長するマクドナルドのTwitter運営、参考になる部分もあるのではないでしょうか。
マクドナルドのInstagram運用
マクドナルドはInstagramでも公式アカウントの運用を行っております。日本マクドナルドの公式アカウントは、運用を2022年の8月から行っているのですが、すでにフォロワーが10万人に達しそうな勢いです。Instagramでの投稿は、ハッピーセットや、子育て応援情報に絞った投稿がされています。「イヤイヤ期あるあるまとめ」といったマクドナルドには関係ないような投稿をすることで、フォロワーの心を掴んでいるように見えます。ターゲットを絞って投稿を行うことが功を奏したと言えるでしょう。
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まとめ
マクドナルドのブランド戦略を見ると、いかに自社のミッションやビジョン、バリューを軸にした経営を行うことが重要であるかが見て取れるかと思います。今のビジネスが自社のミッションやビジョンに沿ったものであるかぜひ、今一度思い返してみてください。
成功企業のブランディング事例シリーズでたくさんの事例を知ることで、ブランディングに関する知識やアイディアを蓄えることにつながります。本シリーズの他記事にも興味がある方は、こちらからご覧ください。
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