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[エッセイ]私の愛する中野 うどんデビューの思い出を添えて

寒い季節になると温かいものが食べたくなるものがある。


うどんだ。


今の家の近くにはなぜかうどん屋がなく、
大好きな私は出先でうどん屋を見るとついつい入ってしまうのだが、その度に私の"はなまるデビュー"の日を思い出す。





私の実家は東京の中野区というところにあった。
JR中央線の中野だ。

サブカルの人気スポットであり、
”第二のアキバ”なんて言われていた。
(今でも言われてますか?)

中央線沿線はサブカル文化の毛色が強く、私はとても大好きな街が多い。
荻窪や高円寺なんかにもよく通っていた。

少しサブカル毛色は薄れるが、23区を超えて武蔵野市(吉祥寺)、三鷹に入るとまた雰囲気が変わるところも好きだ。




私が住んでいたところは中野とはいったものの、
JR中野駅からはそこそこ離れており
自転車に乗らないといけない距離だった。

今では駅前が大開発され、えらく綺麗な駅になっているが
私が通っていたころは今ほど綺麗ではなく、
どちらかというと古臭いイメージの駅だった。


そんな中野駅。

私が中学生の頃、お小遣いが増えて行動範囲が広がったタイミングから特に足繫くに通っていたところがある。


今は亡き中野サンプラザの地下で営業していた
”中野サンプラザボウル”というボーリング場である。

聞くところによると区内唯一のボーリング場だったとか。




学校でボーリング好きの固定メンバーがいたので、
そのいつメンで金曜日くらいになると

「あしたボーリング行かね?」

と声を掛け合っていた。

平日は制服を無駄に着崩して
中に着ているシャツのボタンも「そんなに開ける必要ある?」と思うくらいに開けていた我々も

土日になればダサいパーカーや短パンに身を包んでいた。
かわいいものである。


今思えばなぜあの服装が良いと思ったのだろうと疑問を抱くような恰好をしていたが
思い出すだけで恥ずかしいので記憶の隅に仕舞うことにする。



ボーリングを3ゲームほどした後に必ずと言って良いほど通っていたのが
はなまるうどん中野通り店だ。

ボーリングでほどよく疲れた体に
うどんのだしと天ぷらのジューシーさが全身に沁みる。

友達の方が一足早くはなまるデビューをしていたようで、
最初「はなまる行こうぜ」と言われたときはなんのことだかさっぱりわからなかった。


言われるがままに友達おすすめの組み合わせを注文した。

かけ中+かしわ天+さつまいも天


これにネギとごまをたっぷりかける。

最高だった。


そして腹ごしらえをしてから
中野ブロードウェイの中にあるゲームセンター
アドアーズでギターフリークスに勤しむ。

太鼓の達人も大好きだったのだが、
少しやんちゃな友達がギターフリークスをやっていてかっこよかったので私も真似してすぐに乗り換えた。薄情なものだ。

中野駅は私の中学時代の思い出があまりにも詰まっている。





先日、用事があり中野駅に行く機会があった。
大人になって中野を離れてからはめっきり行く機会が減ってしまった。

愛着のあるサンプラザは解体され
駅前も見違える姿になり
大学もたくさんできた




それでもブロードウェイは現役で
はなまるうどんも営業していた。

少しはずれにあるブックファーストはカフェが隣接しており、
書店としては最高の環境。なのにあまり目立たない。そこが好き。

まんだらけには相変わらず慣れ親しんだ古臭い空気が充満していた。

少し道を外れればあっという間に駅前の綺麗さからはかけ離れた
辛気臭さが漂う。



中野には愛すべき空気が残っている。

地元が開発されて発展していくのも良いが、

みるみる姿が変わっていく駅前を見て

少しだけ寂しい気持ちになった。

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