名作の前日譚はやっぱ難しい。「マッドマックス:フュリオサ」感想
うーん、悪くはないんですけどね。
「怒りのデス・ロード」という高過ぎるハードル
一目見ただけで、恐ろしいお金と時間がかかったであろうことが分かるビジュアル。
それは素晴らしかったんですが、やはり前作「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015)を超える熱量を感じることはできませんでした。
まあ、正直それは当たり前。本作「フュリオサ」は「怒りのデスロード」の前日譚なので、世界観は共通。
27年振りの続編というハードルをぶっ飛ばし、ゼロから世界観を構築した前作を超えるのは中々難しい。
映画館で初めて観た時の衝撃は、今でも思い出せますもんね。
どうしても単純明快さを求めてしまう
前作が好き過ぎて、どうしても単純明快さを求めてしまう自分がいました。
というのも、前作は「砦から出て、ただ引き返す」だけという鬼クソシンプルなストーリーだったことが本作のぶっ飛んだ世界観を際立たせていたような気がするんですよ。
今回はフュリオサの過去を描くことにフォーカスを当て過ぎて、結構ストーリーが入り組んでいるんですよね。
もしかしたら、そうすることで前作と差別化しようとしたのかもしれませんけどね。
章立てしたようなテロップを出す演出もあったし。
でもね、いくらなんでもフュリオサの幼少期に1時間割くのはちょっとやり過ぎじゃない?
いつアニャ・テイラー=ジョイが出てくるのかちょっと不安になったもんね。笑
アクションとクリヘムの悪役っぷりは一見の価値あり
もちろん、良いところがないわけではなく。
冒頭にも書いた通り、アクションシーンは出色の出来。この迫力と手数は、日本映画では絶対無理ですね。
全シーン有無を言わさない画力があるし、アングルやカメラのモーション、役者の動きまでめちゃくちゃ計算されているのがよく分かります。
あと、MCUでマイティ・ソーを演じているイメージの強いクリス・ヘムズワースの演技も素晴らしい。
ソーとは180度対極のゲス野郎なんですけど、本人も活き活きと演じているのが伝わってきて楽しくなります。
主演のアニャ・テイラー=ジョイも頑張ってました。やっぱ、どう見てもシャーリーズ・セロンと似てないんですけど。笑
それでもラストシーン近くでは面影がチラついたのは、彼女の演技と努力のおかげでしょう。
考えてみると、本作が大隊長フュリオサ誕生の物語だったするならば別に物語冒頭で似てなくても問題はないんですよね。
今回は前日譚なので、どうしてもこうなっちゃうのは分かるんですが…本作が評価・興行共にあんまり良くなかったので、続編制作が無くなっちゃいそうなのが心配です。
ジョージ・ミラー監督は時々こっちの脳ミソぶっ叩くような作品を作ってくれるのが良いんですけど、なんせ御年79歳なので。
元気なうちに新しい枠での「マッドマックス」が観たいなぁ。