拭えない名作の焼き回し感。映画「アンチャーテッド」感想
面白くなくはないんですけどね。
STORY:
バーテンダーとして働く、ネイサン・ドレイク(トム・ホランド)。器用な手さばきをトレジャーハンターのビクター・サリバン(マーク・ウォールバーグ)に見込まれた彼は、一緒に50億ドル相当の財宝を探さないかと持ち掛けられる。サリバンが消息を断った兄について知っていることもあり、行動を共にするネイサン。
財宝を狙うサンティアゴ(アントニオ・バンデラス)率いる組織との争奪戦の末、二人は手掛かりとなる十字架を手にする。やがて彼らは、500年前に消えた海賊船を発見する。
遅ればせながら観てまいりました「アンチャーテッド」。
原作は大人気アドベンチャーゲーム…らしいんですけど、僕はゲームをやらない人なので設定を全く知らず。
ただ、予告編が僕の大好きな「ミッション・インポッシブル」や「インディ・ジョーンズ」を彷彿とさせる雰囲気。
そして、トム・ホランドとマーク・ウォールバーグの二大スター共演ときては観に行かざるを得ないでしょう。
ただ、感想としては全編通して映画は微妙でした。
ブラックバスター作品としての及第点は超えてるけど名作にはなり損ねたな、という感じ。
名作映画の焼き回し感
予告の雰囲気通り、「インディ・ジョーンズ」「ナショナル・トレジャー」「ミッション・インポッシブル」を彷彿とさせるシーンが盛りだくさん。
そのこと自体は個人的には全然OKなんですよ。オマージュシーンとか好きですし。
問題は、どのシーンも「それらの映画を最新技術とトム・ホランドでやってみました!」の域を出ていないこと。
中盤でネイサン達を襲う罠(飛んでくる矢、水責め)は「インディ・ジョーンズ」でも観たことある上にそれより緊迫感がないし、ド頭に派手なアクションシーンをぶち込んでくるのは「ミッション・インポッシブル」っぽいんですが凄みに欠ける。
終盤のシーンはさすがに迫力がありましたが、そこだけでは全体の印象を払拭するには至らず。
トム・ホランドのアクションシーンは全体を通して見事だったものの、撮影手法があまり僕には合わなかったですね。
予告でも目立っている飛行機のシーンはうまかったんですけど、終盤の船上のアクションはカメラが動き過ぎて目で追いづらく。
めちゃめちゃ動いているのにきちんと目で追えた「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」と雲泥の差を感じてしまいました。
やっぱマーベルってアクションシーン魅せるのうまいんだなあ。
面白い設定を活かしきれていない
原作を知らないのであくまで映画を観ての印象になってしまうのですが、この作品ってネイサン(トム・ホランド)とサリー(マーク・マーク・ウォールバーグ)のバディ感が見せ場だと思うんですけど。
その割に二人だけの絡みのシーンがないから、終盤の展開もあまりエモーショナルじゃないんですよね。
素直過ぎるネイサンと人を信じないサリー。
このふたりの性質の差が見どころのはずなんですが、どうもサリーの姑息っぷりが描写不足。
そのせいで終盤のシーン全体にカタルシスが感じられないのは手痛い。
あと、ストーリー的に肝となっている騙し合いもイマイチです。
ネイサンとサリーに加えて敵役のモンカーダ(アントニオ・バンデラス)とブラドッグ(タティ・ガブリエル)、ヒロインのクロエ(ソフィア・アリ)がなんかライアーゲームみたいなやり取りを繰り返すんですが、一回も「やられた!」ってなるシーンがなく。
これって、観客をしっかり引き付けられてないからだと思うんですよ。
「〇〇が裏切った!」ってなっても「へー」で終わってしまうというか。
唯一良かったのはストーリー展開の早さ。
2時間を切る短尺なのでグダグダが少なく観やすいです。
役者陣は良かっただけに惜しまれる
出演者の演技は総じて良かったと思います。
肉体をしっかり作ってハードなアクションをこなしたトム・ホランドはさすが。バーテンのシーンの手捌きとか見惚れました。
マーク・ウォールバーグの一歩引いた助演での立ち位置も良かったです。
それだけに、ストーリーや演出のダメさが目立ちましたね。
とはいえ、世界観や映像のスケールはさすがで。
オークション会場や終盤のセットづくりなんかはお見事。
ひとつひとつのシーンは悪くないんですが、繋ぎがあまり良くなかったという印象です。
続編の製作が確定してるような雰囲気で終わったし、海外ではそこそこヒットしているようなのでおそらく第2弾はあるんでしょうが、このままいったら失敗する気がするので是非テコ入れしてほしいところです。
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