やっぱ名曲はストーカーになりがちなんだよね。Omoinotake『幾億光年』
久々に刺さるヒット曲が出てきましたよ。
という訳で、久々の音楽レビューはomoinotakeの「幾億光年」。
個人的には2024年一番の名曲です。
ここまでビビッときたのはヒゲダンの「Pretender」以来かも。
まず、誇張抜きで全メロディ良いですよね。
イントロなしで叩きこんでくるAメロからもうキャッチーだし。
徐々に盛り上がっていくアレンジも絶妙。
Aメロの歌詞は、『もう一度”さ”』『ただいまって”さ”』という何気ない”さ”の使い方がうまい。
これがあるだけで私信的、語りかけているような雰囲気になる。
この”さ”を使う手法は結構いろんなアーティストがやってますけど、二段重ねは珍しいですよね。
これを自然にメロディに乗っけれちゃうところにセンスを感じます。オシャレ。
切ないですよね、この歌詞。
Bメロでがっつり失恋、でもそれでは終わらない。
人生も、そこから続いていくものですからね。
『ココロが壊れる』って、結構重い表現ですよね。
これですよ。デイバイデイ。
一回聴くと、耳から離れない。
サビ頭にインパクトのある英語のフレーズっていうのも『Pretender』に似てるよね。グッバイ。
ただ、『Pretender』と違うのはこの曲の主人公は一途に相手のことを想い続けていること。
なんせ、”寄り添った日々”も”生きている意味”ももらった相手ですから。
しかしながら、”どんなスピードで追いかけたら また君と巡り合えるだろう”はキラーフレーズ。
使い古されてそうな感じなのに、意外と歌にはなかったり。
どことなく聞いたことある感じだなーと思ってたんですけど、映画『秒速5センチメートル』のキャッチコピー”どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか”に似てるんですね。新海誠の描く切なさの波動を感じるよ。
いやー、本当一途な主人公ですよね。
曲調と歌声が爽やかだからごまかされてるけど、ギリキモいレベルですよ。なんせ、”止まらない日々”を”君に逢う旅”と思ってますからね。すげえ。多分声は聴こえてねえよ。
でも、この恥ずかしいぐらいの一途さが胸を打つっていうものあるんですよねえ。
思えば、J-POPの名曲って主人公がストーカーになりがちなんですよ。一途さと変態性って表裏一体ですからね。
ポップで明るい曲調、楽しげなアレンジに辛い歌詞が乗っかってるのもJ-POPのお手本っぽい。
2番のAメロは、ある種の恋愛あるあるというか。
近くにいるときより、離れている方が伝えたいことが溢れてくる。
『どうしてかな』の手前で一瞬演奏がブレークして、一番と違いを出しているのもニクい。
夜空を”藍色”って表現するの、意外と珍しいですよね。
藍色ってどんな色だったかなあって思って、改めて調べてみたら意外と暗い色で。星が浮かぶ空って、藍色なんですねえ。
二度目の登場、デイバイデイ。
2番のサビでようやくタイトルっぽいワード(幾億年)が出てくるの、洒落てる。
ここでも垣間見える、主人公の強い想い。
いつかまた絶対に巡り会えるという強い信念を感じる。ここまで芯が強いとそれが正解と思えてくるな。
“瞬きもせず”っていうのが、また。
点滅しないってことは、常に想い続けるってことで。
名曲にはやっぱDメロが欠かせないよねえ。
好きな曲なんですけど、だんだん主人公の一途さが怖くなってきたぞ。
絶えず名前を叫ばれるのはまあまあ恐怖ですが、爽やかな歌声とポップな曲調でサラッと聴くだけではそう思わせないところはポップス職人。
『目を開けるたびに近づいていく』って、やっぱちょっと怖くない?僕が気にしすぎなのか?笑
でも、この締め方は良いっすよね。
永遠に過去形にならない「I LOVE YOU」。
散々言ってた『言えなかった言葉』ってこれなんだな、っていう。
途中までストーキングギリギリでしたけども。
なんか爽やかに終わったので法には触れてません(?)。
なんか色々ディスりましたけど、僕はこの曲大好きです。
ちょっとハスキーでギリギリ感ある高音の歌声に切なさと爽やかさがあって、何とも良い。
2024年、個人的に一番ヘビロテしてるこの曲。
聞いたことのない方は是非。
ちなみに、この曲が主題歌になってるドラマ『Eye Love You』は何か無理でハマれませんでした。
なんでだろう?