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これが令和の恋愛純文学映画なのか?「恋は光」感想

なんか、意外と面白かったぞ。

STORY:
“恋する女性が光って視える”特異な体質を持つ大学生・西条。恋愛とは無縁の学生生活を送っていたある日、「恋というものを知りたい」と言う文学少女・東雲と出会い一目惚れ、“恋の定義”を語り合う交換日記を始めることに。そんな2人の様子は、西条にずっと片想いをしている幼なじみの北代の心をざわつかせる。さらに、他人の恋人を略奪してばかりの宿木は、西条を北代の彼氏と勘違いし、猛アプローチを開始。いつの間にか4人で“恋とはなんぞや?”を考えはじめ、やがて不思議な四角関係に…。数千年もの間、人類誰しもが悩んできた「恋」を、果たして彼らは解くことができるのか?そして、それぞれの恋の行方は―?

恋する乙女は光輝く(物理)

実は、原作の漫画を少し読んでまして。
と言っても、スーパー銭湯読んじゃったから時間が足りなくて読みきれていないんですけど。笑

朴念仁の主人公が謎にモテモテでハーレム形成、というのは良くあるラブコメ設定ですが、上記のあらすじにも書いた主人公・西条(神尾楓珠)は恋をしている女性から発せられる光を見ることができるという謎設定が結構良いんです。

人の恋人を奪いたがる宿木(馬場ふみか)と恋が何かを考えるヒロイン・東雲(平祐奈)は、やがて西条に対して光を発するようになります。
しかし、誰もよりも長く、強く西条を想っているはずの北代(西野七瀬)は何故か光らない。

西条から見ると、何故北代は光っていないのか。
転じて、彼にとっての恋の定義とはいったい何なのか、というのが本作の大きなテーマとなってきます。


三者三様に魅力的なヒロインたち

フルに原作知識がある訳ではありませんが、キャスティングは原作に比較的忠実なイメージです。
強いて言えば、西野七瀬が演じた北代はビジュアル的にもっとギャルっぽいイメージでしたけど、実写では強烈な幼馴染感があってこれはこれで良かったんじゃないかと。
西野七瀬、こういう役もできるんですねー。
ちなみに、僕は3人の中では北代派です。
こんな同級生いたら絶対好きになってるわ。笑

宿木を演じた馬場ふみかのハマりっぷりも素晴らしい。
彼女持ちの男ばっかり好きになって奪うというややこしい子なんですけど、何故か憎めないんですよねえ。
というか、恋愛に対して屈折しまくった登場人物ばっかりなので相対的に一人間らしく見えるというか…
変な奴ばっかの本作において、観客を繋ぎとめる役割を果たしてくれていたような気がします。

メインヒロイン的な立ち位置である東雲は本作の中でも一際浮世離れしたキャラクターですが、演じた平祐奈の神秘的なルックスとふわふわした演技で見事にカバー。ちゃんと人間味があって、かわいらしいキャラに仕上がってました。

3人のヒロインが、それぞれ異なる形で西条に恋をしているのも良いですね。
『恋とは?』という本作のメインテーマをより深く考えさせてくれます。

主人公・西条のキャラは好きなんですが、ちょっと演技はクサかった気がしちゃいました…神尾楓珠は精一杯うまくやっていたと思うんですけど、そもそものキャラクターがちょっと漫画的ですもんね。
後半になると慣れてくるんですが、前半はちょっと違和感ありました。


ロケーションとラストシーンの清涼感が良い

この作品、ロケーションが良いですね。
すごい大学生っぽいというか…語彙力がなくて申し訳ないですけど。笑

細かいとこ言うと、東雲の実家に行くときの電車とか。北代がバイトしている釣り具屋さんとか。
西条が東雲とデートする場所(多分倉敷だよな)とか、ラストシーンの美術館とか。
一個一個がリアルで、どこか懐かしい。

そして、ラストシーンの清涼感。
個人的にはすごく納得のいく展開だったし、最後に西条が辿り着く心境がすごく好きなんですよ。

映画って終わり方がすごく大事なんだなって、当たり前ですけど再認識させてくれました。

後半明らかに宿木の存在感が霞んだりとかツッコミどころもあるにはあるんですけど、ラストシーンにはそれを帳消しにするぐらいの気持ち良い清涼感がありました。

青春映画を観たい、って人にはかなりおすすめできる作品です。

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