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ギターのある暮らし#3-2 ビンテージギターを買う

それでも何故か、諦めきれなかった。

諦めようと決めると、大体はスーッと忘れていけるものである。


気になって、気になって仕事が手につかなくなってきた。
誰かに買われていないかチェックする日々が続く。

何やってんだ、自分…。

本来物欲のない私がこんなにも気になってほしいと思っているのだから、
もし、とんでもない状態のギターが届いてしまったら、それはそれで、世間様が言うように、ネットで買うなんて・・・と思ってお勉強代だと思えば?また頑張って働けばいいじゃない。

身の丈をわきまえている自分としては、
家にモノを増やしたくもないし、壊れた椅子なら直せるけれど、ギターは直せない。

こりゃ、ギャンブルだな。

私はギャンブルが嫌いだ。
職人仕事は一発逆転なんて、ありえない。
日々の積み重ね以外の何者でもない。

散々悩んだあげくそれでも気になるならば、直観と今の練習の行き詰まり脱却を信じて、
作られた故郷へ帰っておいで、とポチッ!

届くまで、ドキドキが止まらない。

そして、約束の日時。
ひとりの配達員さんが、扉の前に立つ。
小ぶりな段ボールを抱えていた。

受け取った時の軽さに驚いた。
サイズ間違えた?もしくは空?

開けてみると間違いなくギターは入っていた。
プチプチ梱包から出してみる。
サイズも思っていた通り。
ネックも細い。記載されていた通り。

何もせず、そのまま弾いてみて驚く。
ネックが握りやすい。
弦がおさえやすい。
そして、体にまで音が響いてくる。
本体がめちゃくちゃ軽い。

YAMAHAと形は似ているのに、全く違う。
むしろYAMAHAの方が少しばかり小さいのに。

私が買ったのは、
1971年製 Yamaki Deluxe FOLK No.115


各サイトで出回っているyamakiのギターは数千円のものも多く、不具合も多い。なんせ、50年以上前につくられたものがほとんどだ。
気になっていたのは、
長野県諏訪市で作られていたことが大きい。
あと、0フレット。
この2点で、どんな音なのか聞きたかった。

0フレットと削られたロゴ

幾つか出回っているもので、気になった個体はあったけれど、
値段とネックの太さ、
あと私が素人なので、詳しくないという方やギターの説明がのっていないサイト、メンテナンス済でないもの、は自分には無理だと思っていたし、
出来るなら、楽器店さんのサイトであればいいなと思って選んだ。

届いたモノの軽さから、こんな梱包でいいのかと思ったけれど、
何も問題なかった。

何故かyamakiのロゴが削られていること以外、とりあえず弾けないことはなかったし、
すぐに分解して、何かをやらかしてしまうのも嫌だったので、メンテナンス済みを信じて、ボディーを拭いて、チューニングをした。

それからというもの、毎日が楽しい。
私はどうやらこの音が好きだ。
ずっと、このギターを抱えていたくなる。

ちょっとした形の違い、重さ、音色。
そんな大した差はなさそうに見えるのに、不思議なものです。

よく男性がギターを女性に例えることがあるけれど、
私はこのギターを抱えた時に、なんかおじいちゃんだと思った。
おじいちゃん家の匂いがする。
もう家族やん!もしくは家やん(←意味わからん)。

ネットで買うことに、大きな抵抗はあったけれど、
あの時、思い切って買ってみて良かったなと日々思っているのである。

もっとこのギターを鳴らせたらと、ことあるごとにギターをそばに置くようになってしまったわけです。(仕事場には持って行きませんよ!)
何だかモヤモヤっとしていた練習が、一気に楽しくなりました。



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