紅茶×アプリコットという奇跡【赤城:アイスパフェ】
子どもの頃、パフェに求めることは第1にアイス、第2にアイスだった。
生クリームよりもソフトクリーム。コーンフレークを入れるくらいなら下までびっちりアイスにしてくれ、と思っていた。つまり、大量にアイスが食べたかったのである。
そのため、スーパーやコンビニで売っている大きなパフェアイスは常に憧れだった。たまに買ってもらえることがあって、チョコばかり選んでいた記憶がある。
「たまに」のことだから、冒険はしたくなかったのかもしれない。好みじゃないとなると、そのサイズ感ゆえ途端に苦行と化してしまうことだし。
しかしいつからか、クリームを欲するようになり、昔は不要とさえ思っていたサクサクやゼリーの類も逆にありがたがるようになった(明らかな”かさ増し”は論外だけど)。
構成や食感の妙に気づき始めた、と言えば恰好がつくが、アイスへの熱意が下がったとも言える。
毎日のように食べているのに?と思うかもしれない。しかし、あの大きいサイズでひたすらアイス、しかもラクトアイス……。
ラクトアイスが全て悪いわけではないが、もしも薄くて軽いだけのものだった場合は飽きてしまうだろうなあ、と立ち止まるようになってしまったのだ。
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しかし、そんなことはなかった。というより、私が思っていたパフェアイスと全然違っていた。
もちろんクリームはないし、構成要素のほとんどはアイスである。しかし限られた条件の中で構成がよく練られており、容器に残ったアイスをこそげ取るほど最後まで魅了されっぱなしだった。
赤城乳業:パフェデザート「紅茶のひととき」。
パフェデザートというシリーズにはチョコやチーズケーキなどいくつか種類がある。
やっぱり紅茶好きなんだな、と思ってくださったかたには申し訳ないが、商品入れ替えで安くなっていたというのが真相だ。しかも見つけたときは買わずに帰宅し、その後数日間悩んでいたし。
さて、構成は次のとおり。
アッサム紅茶風味クッキー
アプリコットソース
ミルク味アイス
スコーン風クッキー
ダージリン紅茶アイス
アプリコットソース
ミルク味アイス
パッケージ正面には「紅茶」としか書かれいていない。しかし、このアイスのMVPはアプリコットだった。
私がアプリコット好きなのを差し引いても、もっとパッケージで主張してもいいと思うよ赤城さん。そもそもアプリコットを使ったアイスが少ないし、さらにこんなに上手に使っているのにもったいないよ赤城さん、と詰め寄りたくなるくらいである。
トッピングのソースからは、いちごやオレンジなどとは違う甘さメインのフルーティーさが感じられた。
しかし、2種のアイスを食べ進めた後半に再び現れたとき、さわやかな甘酸っぱさがグッと前に出てきたのである。どちらも「アプリコットソース」とあるが、違う配合なのか?と思うほど。
しかしスコーン風クッキー(ゴロゴロ感100点)もアイスを食べ進めるうちに塩味を感じるようになったので、どちらもそれ単体として輝くだけでなく、主役であるアイスの甘味を中和させるためのサポート役も担っているのだろう。
一人二役×2。つまり構成員数以上の味わいがあるのだ。
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アイス自体も大味でなかったのはさすが赤城さんといったところだが、とにかくアプリコットと紅茶の相性はこんなにも良いと思わなかった。
しかし残念ながら、公式サイトからは既に「紅茶のひととき」は姿を消している。
つまり、お近くの店舗で販売されているのは在庫限りだと思われるので、気になったかたは即購入していただきたい。