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熱意がページ数に勝利した
飛龍伝、読み終わりました。
(いかにも。)
予想以上のハイスピードさに自分で驚いている。2日で読み終えるなんて思っていなかったのだ。
前回も言ったように、私が観たかった舞台の原作というのが、『飛龍伝』を読む動機になっている。本当にただそれだけだったので、ここで描かれている学生運動(70年安保)についての知識は皆無に等しく……あ、ちょっとあらすじ引用しますね。
1968年春。神林美智子は高松から上京し、安保闘争の嵐吹きあれる東大に入学。全共闘斗士・桂木に恋した美智子は、突然、全共闘40万の委員長に指名される。さらに機動隊の計画をスパイするため、機動隊長山崎と同棲することを指令され―。いつしか山崎を愛するようになった美智子をめぐって、桂木と三つ巴の火花を散らしつつ、遂に決戦の日がやってきた。
ちなみに、主人公の神林美智子は、実際に60年安保闘争で命を落とした樺美智子がモデルになっているとかいないとか。 全然知らないなーと思っていたのだが、高校の資料集に載っていた。しかも当時の自分、ちゃんと丸で囲っていた……悔しい。
そういう何も頭に入っていない状況で、しかも恋愛話や暴力的な話も普段読まない私に、単行本437ページはなかなかの難易度に思えた。ごくたまに見るテレビドラマも苦手なシーンを飛ばしがちなのに、「某登場人物が出てくるシーンが見たい」という不純な動機で最初から最後まで読めるのか。
……なんと読めてしまったんですね。私もまだ捨てたもんじゃない、じゃなくて、この本がすごいのだ。
最初こそ雰囲気を掴むのに苦労したものの、2日目は60ページ目あたりから最後まで、晩御飯の準備・実食というインターバルを挟みつつ、一気に駆け抜けた。読むのは早くないと思うが、おそらく計5時間弱だったと思う。
*****
私は、日本で学生運動が盛んだった時代を生きていない。国会議事堂前が、思想を掲げた人やいくつもの旗で埋め尽くされ、もはや合成写真にも見えてしまうような光景も写真でしか知らない。
なので、登場人物たちの言動に違和感を覚えるたび、「でも、もしあの逼迫した状況にいたら『自分はこんなことしないし言わない』とは言い切れない……のかなあ……?」と考え込んでしまった。そして、各キャラクターの ”弱さ” も描かれており、時に自分と重ね合わせ、やっぱり考え込んでしまった。
後半は美智子と機動隊の山崎のすれ違いが悲しく、そして「決戦の日」では、その激しさがこれまで以上に文章からにじみ出ており、読み終えた21時頃から翌朝まで、私は抜け殻のようになっていた。感想もうまくまとまらず、「なんか、なあ……」と頭で繰り返すだけ。すごく濃厚な読書だった。
『飛龍伝』を読めたのは、結構な自信になった。読みたいという気持ちが強ければ、ジャンルやページ数は関係ない。これからはもっと気楽に挑戦してみようと思う……時々プーさんも挟みながらね。
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