映画『宝島』ギョーム・ブラック監督
映画『宝島』2018年・フランス/ギョーム・ブラック監督
ドキュメントの結晶たち。
珠玉の瞬間の記録。
幼年期の思い出へのオマージュ。
本作はフランスの映画監督、ギョーム・ブラックがパリ北西にあるレジャー・アイランドでのひと夏を映し出したドキュメンタリー作品です。
この地は、エリック・ロメールが映画の舞台としても描いた場所であり、ギョーム監督自身も、幼い頃、この近くに住んでいたことがあり、親と一緒に幼い頃に訪れたことのある場所でもあったとのこと。
映し出されるショット、一つ一つが、計算されていて、美しい映像作品になっていて、惹き込まれました。
この作品を観終わって、そのことが大きく心に残ったことです。
また、ドキュメントとして起こるそれぞれの被写体の出来事が、フィクションと現実との境のような場所で、いい具合に混ざっている様相を呈しています。
リアルでありがながら、不安な要素を感じさせないのです。
被写体にグッと迫る撮り方ではなく、少し引いた、傍観者としての位置で、大きくフレームを作って撮影されているのも要因なのではないかと思いました。
監督のなかにおいて、“ユーモア“ や “切なさ” と言ったものを捉えたい。魅せたい。そう言ったものも、感じずにはいられない作品でした。
それを、ちょうど良い塩梅で、上手くひとつの映像作品として表現されていているからこそ、観るものを惹きつけてしまう。
忘れ去られていた思い出。
記憶の彼方に置き去りにしていた記憶の断片。
この映画をきっかけに、ふと思い出してしまうこともあるかも。
そう思わせてくれる、ひと夏の作品です。
筆者:北島李の