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台湾食べある記 ④台北

4日目の昼過ぎ。もう来ることはなかったはずの松山空港に再び立っていた。

帰国予定便の欠航に伴い、振替の便の調整をするためである。
帰りの便が出るのは桃園空港であったが、移動の時間を惜しんで台北中心地から近い松山空港のカウンターへ向かうことを選択した。

カウンターに人はまばらであった。
影響を受ける人たちは皆朝のうちにそれぞれの主張を済ませてしまったのかもしれない。

私に提示された便は当初の帰国予定から4日後の便であった。
聞けばそれ以前の東京便に空きがないのだという。
しかし、4日後ではさすがに遅すぎる。もう夏休みを終えて出勤していないといけない頃だ。
経由便でも何でもいいからもっと早くできないか。
交渉の末、2日後の関空便を確保することに成功した。
これならばぎりぎり週末に日本に帰ることができる。

その結果、残り2日だったはずの旅程に2日が追加されることになった。
天候を理由にした結構では、宿泊等の費用は保障されない。
ひとまず明日明後日の宿をスマホで確保することにした。
もうこうなってしまったら、行く予定の無かった場所に行き、食べる予定の無かったものを食べまくるしかない。
開き直ることにした。

空港にあった台湾の歩行者信号モニュメント
残り時間が表示されていて、時間が短くなると青信号のマークが走り出す。

空港を後に、中心部の西門地区にやってきた。

時刻はすでに14時を回り、大幅に時間をロスしてしまった。
とりあえず遅い昼食をとることにする。

西門麵店は、ピークタイムを過ぎているにもかかわらず行列ができていた。待っている間に漂ってくる、いかにもおいしそうな香りが食欲を刺激させてくれる。

10分ほどで着席。メニューは写真に日本語訳付きなのが安心である。

台湾グルメの代表格、牛肉麺ニュウロウミェンをいただくことにした。

しょうゆベースの麺の上には煮込まれた牛肉が乗せられている。
最初の口当たりはあっさりしている印象を受けるものの、スパイスが利いているからか、牛肉が良く煮込まれているからなのか、どこかシチューのような味わいがあるような気もする。

また併せて頼んだ豚の角煮もしっかりと柔らかく煮込まれていて大変美味であった。

腹を満たして行動を開始することにした。
元々この日がフルで観光できる最終日の予定であったので、お土産を買い集める予定にしていたのだが、予定外の延長によって予定が狂ってしまった。
お土産は後日に回して少し街歩きをすることにした。

訪れていた西門地区は、台北の渋谷・原宿とも称されるエリアで繁華街として賑わいを見せている。

雨だったこともありあまり写真を撮っていないが、実際街を歩いていると、確かに渋谷や原宿のような若者向け文化発信地の雰囲気が感じられる。
それと同時に観光客向けのお土産屋も多く軒を連ねており、マグネットを探すならば間違いなく西門が最も充実していると言っていいだろう。

西門をブラブラしていると、時刻は早くも夕方になってしまったのでホテルに向かうことにする。
当初最終日予定だったため、奮発して台北101に近い割といいホテルを予約していた。

部屋から台北101を眺めることもできる。
期待していた景色であるのだが、いかんせん最後の夜のはずが最後でなくなってしまったので、どうにも気持ちが締まらない。

気を取り直して夕食に向かうことにした。

台北101のある信義地区は、台北の中でも新興のエリアで、夜市のようなゴミゴミしたローカル感はなく、高層ビルやショッピングモールなどが並ぶ地区である。

そんなショッピングモールの1つに目指すレストランはあった。

KiKi餐庁は、台湾人の口に合わせた四川料理のレストランである。
ここを台湾最後のディナーに、と決めていた。

というのも前年、台湾を訪れた際に、「KiKiの袋ラーメンが袋麵とは思えない美味さである」という噂を耳にして土産に購入。そのインスタントラーメンとは思えない美味さに無事魅了され、今回ぜひ実店舗にも行ってみたいという願望を持つに至ったことがきっかけである。

Kikiは麺類専門店ではなく、四川料理レストランである。
なので麺以外にも幅広いラインナップの料理をそろえていた。
名物を中心にいくつか注文してみる。

最初にやってきたのが蒼蠅頭という、おおよそ食欲をそそられない名前だが、マストで食べるべき!という口コミのあった逸品だ。

早い話がニラとひき肉の炒め物である。
濃い目で辛口の味付けで、コメとの相性が抜群にいい。
一口食べて、コメを追加注文した臨機応変な自分の対応力を称賛したい。

また、同じく代表メニューだという老皮嫩肉も絶品であった。

要は卵豆腐を揚げ出しにしたようなものなのだが、柔らかい卵豆腐を絶妙に外カリ中トロに仕上げている。
どう調理したらこうなるのかはわからないが、こればかりは実際に体験してみてもらわないと、私のボキャブラリーではその絶妙さを表現しきれない。

そして袋麺を通して知っていたことではあるが、麺は安定の美味しさであった。

そのほか欲望に任せてエビマヨや野菜炒めのようなものも注文しており、完全に頼みすぎであった。

しかし、ここが台湾のレストランのいいところで、打包ダーパオとお願いすればほぼどんな店でも容器に入れて持ち帰らせてもらえる。
ホテルに戻って食すことにした。

改めて台北101を眺めながら帰路に就く。
思いがけない旅程延長で時間ができたので、明日は101にも上ってみよう。
そんなプランを思い浮かべながら、ホテルへ戻り眠りについた。

打包した料理とレモンビールを飲みながら。


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