草壁タツオという男/「となりのトトロ」
この土日も、合計3回は、うちのテレビでは「トトロ」がループされており、もう飽き飽き ー かと思いきや、そこはさすがの名作、見ようと思えば何度でも観れちゃう。
宮崎駿も良い仕事をしたもんです。
さて、何度も見返して、最近気になるのは、サツキとメイの父親について。
劇中で触れられてたかどうかはわからんが、あいつの名前は、草壁タツオというらしい。
このタツオ、相当の奇人である。
家族のことを想っているのか、そうでもないのか、さっぱりわからん。
妻の健康の問題、となれば大人が解決せねばならない問題により、田舎に子どもと引っ越してきたはずなのに、まったく家庭にコミットしている感じがない。
あいつが劇中でやった家事といえば、娘二人と風呂に入って、「ガハハハ」と笑っていただけ。
朝ごはんはサツキに作らせてるし、縁戚でもないババアに世話を任せっきり。
ラストでメイが失踪したときだって ・・・ 、仕事中だったのは仕方ないとして、妻の体調が安定していることを確認したら少なくとも、失踪した娘を探しに行かないだろうか。
それとも、あいつにはなんの一報も入ってなかったんだろうか。ってことは、近所の奴らからも、何も重要視されてない、そんな希薄な存在。その名もタツオ。
メイが初めてトトロに出会った後、メイはそのとき草むらで寝ているのですが、謎の執筆活動に精を出しているタツオ、全く娘の不在に気付かない。
ようやくサツキが帰宅して、「あれー、メイはー?」と訊かれるのですが、「庭で遊んでるんじゃないかー(棒読みの声:糸井重里)」だって。
昔から思ってたんですけど、あの家における「庭」ってどこからどこまでなんでしょう。庭も何も、家の前には森が広がってるだけじゃあないか。
メイって、4歳らしいんですが、もっとちゃんと見とけって話であります。
だいたいですね。
引っ越してきた田舎の家で、大人には不可解な事象が起きまくってるわけです。
まっくろくろすけだー とか、トトロいたもん、とか。
メイは、許す。
あいつは前述のとおり、4歳なので、そのへんの柴犬のほうがまだ賢い。
ただ、サツキ。お前はダメだ。サツキって、12歳らしいので、あのしっかり者感から考えても、そのサツキが、わけわからんイマジナリーフレンドのことを喋りだしたんなら、もうちょっと心配してあげるべきである。
不審者かもしれんだろ。
不審者と絡んだトラウマを、「まっくろくろすけ」「トトロ」に変換してるだけかもしれんだろ。
そこをタツオは、棒読みで、
「お化け屋敷に住むのが、父さんの夢だったんだー」
「森の守り神じゃないか?」
だって。
その鈍感さ、タツオ、怖い。
あんまり参考にはならん父親像。
家父長制バリバリ戦前戦後世代でもなく、
昭和の頑固オヤジでもなく、
現代的な理解ある父親でもない。
そんな奇人、それがタツオです。