デザインど素人、Canvaで表紙を錬成する|文学フリマ初出店に向けて
文学フリマ京都9に向けて本を作るよの記録。
▼これまでの記録はこちらから
本文があらかたできたので、表紙づくりへ!
買い手として文フリに参加した際、見本誌コーナーで装丁が好みな本があるとつい手に取っていた身としては、表紙の大切さは身をもって感じている。
しかしこちとらデザインなんて勉強したことも仕事で扱ったこともないし、イラストも書けない。ココナラなんかでデザインが得意な方にお願いすることも少し考えたけれど……初出店だし、販売価格も抑えたいし、一旦は自分でやってみようと思ったのでした。
使用するのはnoteでもおなじみのCanva。無料で使えるし、メンバーシップのトップ画像や会員証を作るときにお世話になったので、操作にも馴染みがある。
で、Canvaを使おうと決めたことで、印刷所も決まった。他の方の文フリ準備記事でもよく目にする、ちょ古っ都製本工房さんである。
表紙をCanvaで作る場合、印刷所によっては必要な入稿形式の条件を満たせない場合があるらしいのだけれど、調べる限りちょ古っ都さんは大丈夫そう。印刷価格も抑えられるので、初心者には非常にうれしい。
ということで、ちょ古っ都さんへ印刷をお願いすることを前提に表紙を作っていく。
1.表紙を作る
①表紙のサイズを確認
ちょ古っ都製本工房さんで見積もりを取ると、表紙づくりに便利なガイドを出力してくれる。
まずは見積もりメニューから、表紙サイズやページ数、紙の種類等を入力する。こちらは入稿時に変更できるので、だいたいでもOK。
入力して見積りボタンを押すと、納期ごとの金額と一緒にこんな画像が!
塗り足し(紙の端まで色柄を乗せたい場合に必要なバッファ)や背表紙の幅を考慮した表紙のサイズがわかるので、これを参考に表紙を作っていくことにした。
個人的にうれしかったのが、背幅を教えてくれること。背表紙に本のタイトルを入れたいなと思っていたので、有難く参考にさせていただく。
②Canvaでベースを作る
久方ぶりのCanva。やあ、メンバーシップ立ち上げ以来だね。
まずは左上の「デザインを作成」メニューから、先ほどのガイドに沿ったサイズを指定して新規のキャンバスを作る。
無料プランだと、あとからサイズの変更ができないので注意。
キャンバスができたら、その上に塗り足しと背幅のガイド線を引く。
実際に表紙として印刷されるのはここですよ、というのをわかりやすくするイメージ。
まずは表紙+背幅+裏表紙のサイズの長方形を作って、キャンバスの真ん中に配置する。
図形にカーソルを合わせると出てくるメニューのうち、「配置」を選ぶと、左下赤枠のようにサイズや位置を細かく指定できるので便利。
配置ができたら、図形の枠線と塗りつぶしの色をいじって「枠線だけ」が表示される状態にしておく。
背幅のガイドも同じように作成。
……これ絶対もっと簡単にやる方法あるよな……(ご存知の方いらっしゃったらコメントでぜひ教えてください)。
ともあれこれでガイド付きのキャンバスができたので、この線を参考にいよいよ表紙をデザインしていく。
③表紙のデザインを作る
今回の本のタイトルは、「重箱は隅が美味しいの」。収録エッセイのタイトルをそのまま拝借した。
作りたいなと思う表紙はこんな感じ。
・遠くから見てもデザインがわかる(あんまり細かい図案は使わない)
・フードエッセイ本だとなんとなくわかる
・タイトルや内容とリンクしている
これを踏まえて何案か作ってみる。
■案1
まずはタイトルの「重箱」をそのまま表紙にしたらいいんじゃないかと、フリー素材を探した。
……あんまりいいのがない。ハレの日感が強すぎたり、ちょっと野暮ったかったりするものが多かった。重箱の用途を考えれば当たり前なのだけど。
Canvaでも探してみるが、「AIが考えたおせち」みたいな、それっぽい料理(でもよく見るとなんの料理がぜんぜんわからない)を詰め合わせた黒い箱、という感じのものが多く断念。
けれどもこのために重箱を買って写真を撮ることもできないし、絵を描くこともできない。
じゃあいっそ、シンプルに図案化したらどうか?
というのでできたのがこちら。
……なんだろう……強烈に見覚えがある。それもキッチンやレストランではなく、オフィスで。
シンプルでおしゃれなフードエッセイの表紙を作ろうとしたら、キングジムのファイルの背表紙が爆誕してしまった。いつもお世話になっております。
猛烈に先行きが不安になりつつ、別の案を考える。
■案2
文字の配置(隅の字を隅っこに置く)と配色は気に入ったので、それを生かしつつもっとフードエッセイ感を出したい。
ということで、食べ物の写真を活用。
お? だいぶそれらしいぞ??
配色や写真違いでいくつかバリエーションを出してみる。
このあたりでCanvaの有料プランを申し込んだ。素材のバリエーションが段違いだし、画像の透過やキャンバスのサイズ変更など、この先使うことになりそうな機能も多かったので。
表紙だけでなくポスターや無料配布のカードなんかでも気兼ねなくいろんな機能を使えて、月額の支払いは1か月分だけで済んだので、結構コスパが良かったなあと思う。
■案3
案2をいろいろいじってみるなかで、悪くはないものの、やや決め手に欠けると思えてきた。題名とのリンク感もないし。
使っている写真はいちおう収録エッセイに出てくる食材や料理が写っているものにしたけれど、フリー素材だという意識があるからか、いまいち思い入れが持てない気がする。
食べものではなくて、フードエッセイ本だとわかるモチーフ……食器とかカトラリー? 題名が日本のことわざ由来だから、箸がいいかしら。
そういう連想から第3案ができた。お箸を持った手が、重箱の「隅」をつまみ上げているデザインである。手のイラストはイラストACさんからお借りした。
……なんか、わりと良い気がする……けど、考えすぎてよくわからなくなってきた。
運よく、そのすぐ後にnoteお友達のあおいさんとはいはっとちゃんさんにお会いする機会があったので、表紙案をすべて見せて意見をお願いした。赤羽の居酒屋でいきなり同人誌の話をしたのに、真剣に考えてくださってありがとうございました……!
夫にも見てもらい、全体的に案3が好評だったのでこれに決定!
④ロゴを裏表紙に入れて完成
さて、裏表紙。
何も入れなくてもまあいいんだけど、ちょっとさみしい気もする。
というわけで、出店名の「あめふらし文庫」を使ってロゴを作りました。
動物のほうのあめふらしを使おうかと思ったものの、私のセンスではあの軟体動物をいい感じにデザインへ落とし込めなかったのでこんな形に。本のイラストの線がやや細いのが気になるので、そのうち作り変えるかも。
「あめふらし文庫」、わりとさらっとつけた出店名なのだけれど、こうやっていじっているとだんだん愛着が湧いてくるな。
調子に乗っていろんなバージョンを作る。
Canvaの有料機能を使って透過済なので、いろんなところで使えそうでうれしい。
これを裏表紙にはっつけて、ガイド線を削除したら表紙の完成だ。
2.試し刷り・最終調整
本文と表紙のデータができたので、試しに1冊だけ刷ってみることにした。1冊で受け付けてくれて、しかも(仕様にもよるけど)1,000円弱で印刷してくれるの、めちゃくちゃありがたい。
ほ、本だー!! と興奮した後、最終調整。
表紙の色味や文字配置を少し変えたり、本文のチェックをしたり(事前に何周もチェックしたのに、字下げがおかしかったりして冷や汗かいた)。
そうこうしているうちに「書き下ろしもう1本いけるのでは?」という気持ちになって、急遽書き足したり。その影響で背幅が変わったので、もう一度表紙データを修正したり。
わりとしっちゃかめっちゃかで、結局締め切りの午前中に滑り込みで入稿となった。
ともあれこれで、あとは刷り上がるのを待つのみ!
ちょうど昨日、ブース番号も発表された。
明日、noteで文フリにもっていく本の紹介をしようと思います。
しばらくXやnoteでは宣伝が多くなるかと思いますが、どうかお付き合いを!