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【詩】if その2

もしも、この身体でなかったら
何度だって大声で非難できただろう

もしも、この身体でなかったら
鉄拳制裁で反撃できただろう

もしも、この身体でなかったら
席を立つこともできただろう

けれど、そもそも

もしも、この身体でなかったら
「人間じゃない」と罵倒されなかったかもしれない

もしも、この身体でなかったら
何十年も、不快な身体接触をされなかったかもしれない

もしも、この身体でなかったら
しつこく奇蹟を諭され、祈らされなかったかもしれない

だから、そもそも

もしも、この身体でなかったら
大声で非難する必要はなかったかもしれない

もしも、この身体でなかったら
鉄拳制裁する必要はなかったかもしれない

もしも、この身体でなかったら
席を立つ必要はなかったかもしれない

すべてはもう、とうの昔に起こってしまったことで
いまさら「もしも」はあり得ないが
もしも、この身体でなかったら
あんな目には遭わなかったかもしれないと
ひとり、人工光の下で怒りを弄ぶ

もしも、この身体でなかったら
あんな目に遭わなかったかもしれないのと

もしも、この身体でなくたって
別の目に遭ったかもしれないのと

いったいどちらの怒りのほうが 弄びやすいだろう
 



詩『if その1』は、こちら


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