独学できる人になるために"勉強"を深く捉える「勉強の哲学/千葉雅也」

こんにちは。

前回の読書録に引き続き、こんかいもあんちぽさんがお勧めされていた書籍を読みました。それが「勉強の哲学」です。

本書を知るきっかけとなったプレゼンのなかで、あんちぽさんが自己投資やスキルアップを目的とした勉強よりも自分の興味のわくことを勉強したほうが良い、といったことをおっしゃっていたんですね。
ばりばり自己投資でプログラミングを始めていた自分にとっては、あんちぽさんの言ってることが頭ではわかっても納得ができず…。そのあとにちょうど勉強そのものを突き詰める書籍を紹介されていたので手に取った、という経緯があります。

本書の冒頭には、勉強とはどういうことか根本的に考えてみて「深い勉強(ラディカルラーニング)」をしてみませんか、と書かれています。
結構優しい調子です。僕はふだん哲学って書かれた本はそう読まないのですが、多分この本は受け取りやすいような文体、表現を使ってくれています。それでもちょっと難しかったですが…。

著者の千葉雅也さんは哲学者であり小説家。表面化する文化を分析する表象文化論も研究なされているということで、具体的な例えをはさみながら勉強について論がなされます。
この記事ではざっくりと気になった箇所、思ったところをまとめます。

勉強 is なに?

そもそも勉強って何よってのを捉え直します。学校で机と椅子があれば勉強なのかというとそんな具体的な話ではなく…。

勉強とは「今いる環境から新しい環境への引っ越し」といいます。
僕で言えば、「仕事のマーケティング」と「個人的に学習してるプログラミング」を比べたときに、使われてる言葉や文化?(〇〇のときは△△と考えるみたいな文脈的なこと)がぜんぜん違うわけです。

本書では今属している環境のコード(文脈/ノリ)から新しい環境のコード(文脈/ノリ)に移ることが勉強であるといいます。
体験したことがある人も多いと思いますが、新しい分野への勉強を開始した直後に出会う用語って、同じ日本語なのにぜんぜん使い方/使われ方がわからないことがありますよね。そういうものに出会ったときに言葉そのものを「そういうもんだ」で受け止める段階があります。そして自分で使ってみたりして理解を深めていく。
本書では勉強すると「ノリが悪くなって、一般的に言うとキモい人間になる」と書かれていますが、旧環境での文脈でコミュニケーションを取っているのに新環境の文脈が挟まったり、言葉そのものを捉え直す思考を発揮し始めればコミュニケーションの間が悪くなったりするだろうという話です。

環境から自由になる

勉強がいまいる環境から新しい環境に移るというのなら、現環境から自由にならなければなりません。とはいえ、人間はどうやっても環境に影響される生き物です。そこで著者が挙げる思考テクニックがアイロニーとユーモアです。

アイロニーは、環境のコード(文脈)をより細かく定義しようとする態度のこと。「〇〇って△△だよね」って暗黙の了解をぶち破って「そもそも△△ってなに」みたいなこと言い出します。

いっぽうでユーモアは環境のコードを変換していくこと。
「〇〇って△△だよね」ってきたら「〇〇って××とも言えるよね」みたいな興味関心のままに話題転換をして暗黙の了解だった領域を広げていくイメージです。これはつまり、アイロニーは環境を縦方向に追求させていくのに対して、ユーモアは横方向に拡大させていくのです。

深い勉強というのはつまり、いまの自分の置かれている環境を縦方向に追求して、多くの人に当てはまる本質として抽象化させて取り組んでいくことだといいます。僕で言えば、仕事でマーケティングが必要だから学ぶという姿勢では浅くて、「マーケティングを必要とさせているものはなにか?」を考えて取り組むのです。そのまま深堀りし続けていくのか、ユーモア興味のわく異なる分野に学びの対象を移すのか、そのように進展していきます

また、本書では物事への態度として、何かのために行う目的的な態度とそれそのもののために行う自己目的的な態度があるとしています。目的的な活動は「マーケティングが必要だから学ぶ」という目的ありきの態度であり、自己目的的な活動はその人のこだわりや興味関心の発露として活動がなされます。深い勉強は興味関心の発露としてなされるものとされています。

今の自分は深い勉強ができているのか

冒頭の話に戻ります。
あんちぽさんが自己投資やスキルアップのための勉強を勧めなかった理由こそ、この深い勉強(ラディカルラーニング)論にあると思います。
「自分がこうなりたい」「みにつけなきゃいけない」という目標を持つことは尊いことですが、それは一方でそれさえ済めばおしまい、という側面も持っています。広がりが無いのです。
そんな刹那的な取り組みじゃなくて、自己の興味関心の赴くことからタテヨコに勉強を広げていくほうがよっぽど身になるということなんでしょう。

今の自分はどうなのかな…と思う話ではありますが…。
始めたときよりよっぽどプログラミング学習そのものを楽しく取り組めているので、現段階としてはいいんじゃないでしょうか。
フィヨルドブートキャンプで1年3ヶ月取り組んできて、少しづつプログラミングの知識が蓄積されて、やっとその知識をベースに他の人と交流を持ちたいという気持ちが出てきました。タテにヨコに進めているように思います。

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