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確かなこと

学生時代の記憶は断片的で、ぽろぽろとこぼれ落ちている。
思春期の頃はとくに。


教室、登下校、放課後、部活、休日、選択授業・・・・・・


その時々でグループが変わり、その人だけにしか見えない顔を、いくつも持ち合わせていた気がする。


友人と何を話していた?

毎日何を考えていた?

私はどんな人間だった?






SNSを極力避けているから、同級生との繋がりをほとんど持たない。

差しのべてくれた手をぎゅっとつかみ、本当に、本当に久しぶりの再会だった。



自分でも忘れてしまっている自分を、覚えている人がいる。

“みんな、私の存在を忘れてくれたらいい”

気分が沈んでしまうとき、何度も願ってきた。


日常でふと私を思い出さないでほしい。
そうすれば恥ずかしい私も、みじめな私も、みんな無かったことにできる。

覚えていない自分の何か、を、他人だけが鮮烈に覚えていたとしたら・・・・・・考えるだけでおぞましい。



けれど、

再会して楽しそうに昔を回顧する友人たちを眺めながら

失敗した自分、ずるい自分、やさしくない自分・・・・・・思い出したくないすべての自分を知っていて、それでも私を受け入れてくれている人がいる。



「また会おう」

「会いたい」



そう言って笑って抱きしめてくれる人がいる。


それがどれほど温かくて、

どんなに安心させてくれることか。





あなたたちにまた会うために、私は今日も頑張って生きます。

きっと「むずかしく考えすぎ!」と笑ってくれるでしょう。

そんな大切なあなたたちのことを、もらった優しさとふるえるような温かさを、ここに記します。



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