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hoho8888
確かなこと
学生時代の記憶は断片的で、ぽろぽろとこぼれ落ちている。
思春期の頃はとくに。
教室、登下校、放課後、部活、休日、選択授業・・・・・・
その時々でグループが変わり、その人だけにしか見えない顔を、いくつも持ち合わせていた気がする。
友人と何を話していた?
毎日何を考えていた?
私はどんな人間だった?
SNSを極力避けているから、同級生との繋がりをほとんど持たない。
差しのべてくれた手をぎゅっとつかみ、本当に、本当に久しぶりの再会だった。
自分でも忘れてしまっている自分を、覚えている人がいる。
“みんな、私の存在を忘れてくれたらいい”
気分が沈んでしまうとき、何度も願ってきた。
日常でふと私を思い出さないでほしい。
そうすれば恥ずかしい私も、みじめな私も、みんな無かったことにできる。
覚えていない自分の何か、を、他人だけが鮮烈に覚えていたとしたら・・・・・・考えるだけでおぞましい。
けれど、
再会して楽しそうに昔を回顧する友人たちを眺めながら
失敗した自分、ずるい自分、やさしくない自分・・・・・・思い出したくないすべての自分を知っていて、それでも私を受け入れてくれている人がいる。
「また会おう」
「会いたい」
そう言って笑って抱きしめてくれる人がいる。
それがどれほど温かくて、
どんなに安心させてくれることか。
あなたたちにまた会うために、私は今日も頑張って生きます。
きっと「むずかしく考えすぎ!」と笑ってくれるでしょう。
そんな大切なあなたたちのことを、もらった優しさとふるえるような温かさを、ここに記します。